貸金業者の債務者に対する取引履歴の開示義務の有無
最高裁判所第3小法廷判決/平成16年(受)第965号
平成17年7月19日
過払金等請求事件
【判示事項】 貸金業者の債務者に対する取引履歴の開示義務の有無
【判決要旨】 貸金業者は,債務者から取引履歴の開示を求められた場合には,その開示要求が濫用にわたると認められるなど特段の事情のない限り,貸金業の規制等に関する法律の適用を受ける金銭消費貸借契約の付随義務として,信義則上,その業務に関する帳簿に基づいて取引履歴を開示すべき義務を負う。
【参照条文】 民法1-2
民法587
民法709
貸金業の規制等に関する法律19
貸金業の規制等に関する法律施行規則16
【掲載誌】 最高裁判所民事判例集59巻6号1783頁
民法
(基本原則)
第一条 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
3 権利の濫用は、これを許さない。
(消費貸借)
第五百八十七条 消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる。
(不当利得の返還義務)
第七百三条 法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。
貸金業法
(帳簿の備付け)
第十九条 貸金業者は、内閣府令で定めるところにより、その営業所又は事務所ごとに、その業務に関する帳簿を備え、債務者ごとに貸付けの契約について契約年月日、貸付けの金額、受領金額その他内閣府令で定める事項を記載し、これを保存しなければならない。
(帳簿の備付け)
第十六条 法第十九条に規定する内閣府令で定める事項は、次に掲げる事項とする。
一 法第十七条第一項第四号から第八号までに掲げる事項(第十三条第一項第一号イ、ホ、ト及びヨからソまで(手形の割引にあつてはイ、レ及びソに限り、売渡担保にあつてはイ及びタからソまでに限り、金銭の貸借の媒介にあつてはイ、ヨ、レ及びソに限る。)に掲げる事項を除き、極度方式貸付けに係る契約にあつては次号に掲げる事項と同一の内容のものを除く。)
二 法第十七条第二項第二号から第七号までに掲げる事項(第十三条第三項第一号イ、ホ、ト及びカからソまで(手形の割引にあつてはイ、レ及びソに限り、売渡担保にあつてはイ及びヨからソまでに限り、金銭の貸借の媒介にあつてはイ、カ及びタからソまでに限る。)並びに第二号ハに掲げる事項を除く。)
三 貸付けに係る契約について保証契約を締結したときは、法第十七条第三項に掲げる事項(第十二条の二第六項第七号及び第十二号から第十四号までに掲げる事項を除く。)
四 貸付けの契約に基づく債権の全部又は一部について弁済を受けたときは、各回の弁済に係る法第十八条第一項第四号及び第五号並びに前条第一項第五号(金銭の貸借の媒介にあつては、法第十八条第一項第五号に限る。)に掲げる事項
五 貸付けの契約に基づく債権の全部又は一部が弁済以外の事由により消滅したときは、その事由及び年月日並びに残存債権の額
六 貸付けの契約に基づく債権を他人に譲渡したときは、その者の商号、名称又は氏名及び住所、譲渡年月日並びに当該債権の額
七 貸付けの契約に基づく債権に関する債務者等その他の者との交渉の経過の記録
八 日賦貸金業者である場合にあつては、次に掲げる事項
イ 貸付けの相手方が主として営む業種
ロ 貸付けの相手方が常時使用する従業員の数
ハ 返済金を貸付けの相手方の営業所又は住所において貸金業者が自ら取り立てるため訪問した年月日
2 第十一条第四項の規定は、貸金業者が法第十九条の帳簿を作成する場合について準用する。
3 貸金業者は、法第十九条の帳簿を作成するときは、当該帳簿を保存すべき営業所等ごとに次の各号に掲げる書面の写しを保存することをもつて、当該各号に定める事項の記載に代えることができる。
一 法第十七条第一項の規定により交付すべき書面 第一項第一号に掲げる事項
二 法第十七条第二項の規定により交付すべき書面 第一項第二号に掲げる事項
三 法第十七条第三項の規定により交付すべき書面 第一項第三号に掲げる事項
四 法第十七条第六項に規定する内閣府令で定める書面 第一項第一号に掲げる事項(当該書面に記載された一定期間に締結した極度方式貸付けに係る契約に係る部分に限る。)
五 貸付けの契約に基づく債権の譲渡契約の書面(第一項第六号に掲げる事項を記載したものに限る。) 同号に掲げる事項