被控訴人兼附帯控訴人(一審原告)X社の社会的評価を低下させるビラを配布したり,横断幕を常時一般の | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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被控訴人兼附帯控訴人(一審原告)X社の社会的評価を低下させるビラを配布したり,横断幕を常時一般の目に触れるようにしたほか,区長,筆頭株主会社,取引銀行,主要取引先,同業者組合員会社,商工会議所に要請書を送付した控訴人兼附帯被控訴人(一審被告)Yらの一連の行動は,正当な団体行動としての範疇を超えているとの評価もやむを得ないとされた例

東京高等裁判所判決/平成28年(ネ)第1598号、平成28年(ネ)第1768号
平成28年7月4日
損害賠償請求控訴,同附帯控訴事件
【判示事項】    1 一般に,労働条件は,使用者を取り巻いて現実に存する社会,経済その他の要因によって大きく左右され得るものであり,そのような実質を考えると,労働組合が労働条件の改善を目的として行う団体行動である限りは,それが直接労使関係に立つ者の間の団体交渉に関係する行為ではなくても,憲法28条の保障の対象に含まれ得るが,争議行為と異なり,自ずから限界があるものというべきで,団体行動を受ける者の有する権利,利益を侵害することは許されないものと解するのが相当であるから,これを行う主体,目的,態様等の諸般の事情を考慮して,社会通念上相当と認められる行為に限り,その正当性を肯定すべきであるとされた例
2 被控訴人兼附帯控訴人(一審原告)X社の社会的評価を低下させるビラを配布したり,横断幕を常時一般の目に触れるようにしたほか,区長,筆頭株主会社,取引銀行,主要取引先,同業者組合員会社,商工会議所に要請書を送付した控訴人兼附帯被控訴人(一審被告)Yらの一連の行動は,正当な団体行動としての範疇を超えているとの評価もやむを得ないとされた例
3 X社の信用毀損による損害として,Yらについて,連帯して350万円の損害賠償を命じた一審判決が維持された例
【掲載誌】     労働判例1149号16頁