選挙運動としての戸別訪問禁止の規定(衆議院議員選挙法第98条地方自治法第72条教育委員会法第28 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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選挙運動としての戸別訪問禁止の規定(衆議院議員選挙法第98条地方自治法第72条教育委員会法第28条等)と憲法第21条

 

教育委員会委員選挙罰則違反被告事件

第章      最高裁判所大法廷判決/昭和24年(れ)第2591号

昭和25年9月27日

【判示事項】    選挙運動としての戸別訪問禁止の規定(衆議院議員選挙法第98条地方自治法第72条教育委員会法第28条等)と憲法第21条

【判決要旨】    選挙の公正を期するため戸別訪問を禁止した結果言論の自由にある制限をもたらすことがあつても、その禁止規定(衆議院議員選挙法第98条、地方自治法第72条、教育委員会法第28条等)が憲法第21条に違反するものとはいえない。

【参照条文】    日本国憲法2

          衆議院議員選挙法98

          地方自治法72

          教育委員会法28

【掲載誌】     最高裁判所刑事判例集4巻9号1799頁

 

 

日本国憲法

第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

② 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。       

 

(戸別訪問)

第百三十八条 何人も、選挙に関し、投票を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて戸別訪問をすることができない。

2 いかなる方法をもつてするを問わず、選挙運動のため、戸別に、演説会の開催若しくは演説を行うことについて告知をする行為又は特定の候補者の氏名若しくは政党その他の政治団体の名称を言いあるく行為は、前項に規定する禁止行為に該当するものとみなす。

 

 

主   文

 

 本件上告を棄却する。

 

       理   由

 

 弁護人森長英3郎、同青柳盛雄、同小沢茂の上告趣意第1点について。

 原判決挙示の各証拠を綜合すれば、判示の戸別訪問につき被告人と氏名不詳の男との間に共謀のあつたことが推認できる。従つて被告人には戸別訪問の意思がなかつたと主張する所論は採用できない。

 なお原判決は、共犯者を「某男性」と判示しているが、これはその氏名が明白でないというだけのことであつて、挙示の証拠に照らしてみれば実在の人物であることは明らかであるから、このように判示したからとて、所論のような違法あるものということはできない。

 要するに論旨はいずれの点も採用することができない。

 同上第2点について。

 原判決は、被告人が立候補者Aに「投票を得させる目的を以て」B外2名の宅を順次訪問し「A候補に投票方を依頼し」た旨判示している。これは、被告人においてB外2名の者が選挙権者であること、又は少くとも選挙権者であるかも知れないという認識をもつていたという事実の認定を含むものと解すべきである。そうして原則として凡ての成年者が選挙権を有している現行制度並びに原判決挙示の各証拠を照らし合せて考えれば、右のような認定は肯認できることであつて、被告人は相手方に選挙権があるかどうかを知らなかつたという所論は、原判決が採用しなかつた証拠に基く主張であるから採用することができない。

 同上第3点について。

 選挙運動としての戸別訪問には種々の弊害を伴うので衆議院議員選挙法九八条、地方自治法七2条及び教育委員会法2八条等は、これを禁止している。その結果として言論の自由が幾分制限せられることもあり得よう。

 しかし憲法21条は絶対無制限の言論の自由を保障しているのではなく、公共の福祉のためにその時、所、方法等につき合理的制限のおのずから存することは、これを容認するものと考うべきであるから、選挙の公正を期するために戸別訪問を禁止した結果として、言論自由の制限をもたらすことがあるとしても、これ等の禁止規定を所論のように憲法に違反するものということはできない。それ故論旨は理由がない。

 以上の理由により旧刑訴四四6条に従い主文のとおり判決する。

 この判決は裁判官全員一致の意見によるものである。

 検察官 小幡勇3郎関与

  昭和25年9月27日

     最高裁判所大法廷