既設幼稚園の経営者が他の者に対する幼稚園設置認可処分の取消を求める原告適格の有無
最高裁判所第3小法廷判決/昭和57年(行ツ)第94号
昭和59年12月4日
市川東学院三愛幼稚園設置認可処分取消
【判示事項】 既設幼稚園の経営者が他の者に対する幼稚園設置認可処分の取消を求める原告適格の有無
【判決要旨】 既設幼稚園の経営者は、知事が他の者に対してした幼稚園設置認可処分の取消を求める原告適格を有しない。
【参照条文】 行政事件訴訟法9
私立学校法5-1
【掲載誌】 最高裁判所裁判集民事143号263頁
【評釈論文】 民商法雑誌92巻4号559頁
行政事件訴訟法
(原告適格)
第九条 処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴え(以下「取消訴訟」という。)は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者(処分又は裁決の効果が期間の経過その他の理由によりなくなつた後においてもなお処分又は裁決の取消しによつて回復すべき法律上の利益を有する者を含む。)に限り、提起することができる。
2 裁判所は、処分又は裁決の相手方以外の者について前項に規定する法律上の利益の有無を判断するに当たつては、当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮するものとする。この場合において、当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たつては、当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌するものとし、当該利益の内容及び性質を考慮するに当たつては、当該処分又は裁決がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案するものとする。
私立学校法
(学校教育法の特例)
第五条 私立学校(幼保連携型認定こども園を除く。第八条第一項において同じ。)には、学校教育法第十四条の規定は、適用しない。
学校教育法
第十四条 大学及び高等専門学校以外の市町村の設置する学校については都道府県の教育委員会、大学及び高等専門学校以外の私立学校については都道府県知事は、当該学校が、設備、授業その他の事項について、法令の規定又は都道府県の教育委員会若しくは都道府県知事の定める規程に違反したときは、その変更を命ずることができる。
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人菅野泰、同鳥羽田宗久、同小川寛、同山崎巳義、同広瀬理夫、同松本純の上告理由について
上告人が本件幼稚園設置認可処分の取消を求める法律上の利益を有するものではなく本件訴えは不適法であるとした原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はなく、所論引用の判例は、事案を異にし、本件に適切でない。論旨は、独自の見解に基づいて原判決を論難するものであつて、採用することができない。
よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
最高裁判所第三小法廷