日本電信電話公社事件・採用内定により労働契約の効力発生の始期を採用通知に示された採用の日とする解 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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日本電信電話公社事件・採用内定により労働契約の効力発生の始期を採用通知に示された採用の日とする解約権留保付労働契約が成立したものと認められた事例

 

 

従業員地位確認請求事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷判決/昭和54年(オ)第580号

【判決日付】      昭和55年5月30日

【判示事項】      1、採用内定により労働契約の効力発生の始期を採用通知に示された採用の日とする解約権留保付労働契約が成立したものと認められた事例

             2、留保解約権に基づく採用内定の取消が有効とされた事例

【判決要旨】      1、日本電信電話公社の社員公募に応じ、試験に合格して採用の日、配置先、採用職種及び身分を具体的に明示した採用通知を受けた者が、同公社からの求めに応じて被服号型報告表を提出し、入社懇談会に出席し、健康診断を受けたなどのことがあり、他方、同公社において、採用通知のほかには労働契約締結のための特段の意思表示をすることを予定していなかつたなど、判示の事実関係のもとにおいては、社員公募に対する応募は労働契約の申込であり、これに対する同公社の採用通知は右申込に対する承諾であつて、これにより、応募者と同公社との間に、労働契約の効力発生の始期を採用通知に示された採用の日とし、解約権を留保した労働契約が成立したものと認めるのが相当である。

             2、日本電信電話公社が、社員としての採用を内定したのち、その者が反戦青年委員会の指導的地位にあつて、大阪市公安条例等違反の現行犯として逮捕され、起訴猶予処分を受ける程度の違法行為をしたことが判明したとして留保解約権に基づく採用内定を取り消すことは、解約権留保の趣旨、目的に照らして社会通念上相当として是認することができ、解約権の行使は有効である。

【参照条文】      労働基準法2章

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集34巻3号464頁

 

 

労働基準法

(解雇の予告)

第二十条 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。

② 前項の予告の日数は、一日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。

③ 前条第二項の規定は、第一項但書の場合にこれを準用する。