野田醬油事件・私的独占となる「他の事業者の事業活動の支配」の事例 審決取消請求事件 東京高裁 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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野田醬油事件・私的独占となる「他の事業者の事業活動の支配」の事例

 

 

審決取消請求事件

【事件番号】      東京高等裁判所判決/昭和31年(行ナ)第1号

【判決日付】      昭和32年12月25日

【判示事項】      1、私的独占となる「他の事業者の事業活動の支配」の事例

             2、個々の組成行為の適法不適法と私的独占の成否

             3、排除措置と被審人の意見弁解聴取の要否

【判決要旨】      1、事業者が、自己の行為はすでに市場に成立している客観的条件にのつて事の当然の経過として他の事業者の事業活動を制約することとなるものであることを知りながら、行為する場合には、他の事業者の事業活動を支配するというべきである。

             2、私的独占を組成する個々の行為が、それ自体違法であるかどうかは、私的独占の成否に影響がない。

             3、公正取引委員会は審決に当つていかなる排除措置を命ずるかについて、あらかじめ被審人の意見弁解を聞く必要はない。

【参照条文】      私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律

             私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律2-5

【掲載誌】        高等裁判所民事判例集10巻12号743頁

 

 

私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律

第二条 この法律において「事業者」とは、商業、工業、金融業その他の事業を行う者をいう。事業者の利益のためにする行為を行う役員、従業員、代理人その他の者は、次項又は第三章の規定の適用については、これを事業者とみなす。

② この法律において「事業者団体」とは、事業者としての共通の利益を増進することを主たる目的とする二以上の事業者の結合体又はその連合体をいい、次に掲げる形態のものを含む。ただし、二以上の事業者の結合体又はその連合体であつて、資本又は構成事業者の出資を有し、営利を目的として商業、工業、金融業その他の事業を営むことを主たる目的とし、かつ、現にその事業を営んでいるものを含まないものとする。

一 二以上の事業者が社員(社員に準ずるものを含む。)である社団法人その他の社団

二 二以上の事業者が理事又は管理人の任免、業務の執行又はその存立を支配している財団法人その他の財団

三 二以上の事業者を組合員とする組合又は契約による二以上の事業者の結合体

③ この法律において「役員」とは、理事、取締役、執行役、業務を執行する社員、監事若しくは監査役若しくはこれらに準ずる者、支配人又は本店若しくは支店の事業の主任者をいう。

④ この法律において「競争」とは、二以上の事業者がその通常の事業活動の範囲内において、かつ、当該事業活動の施設又は態様に重要な変更を加えることなく次に掲げる行為をし、又はすることができる状態をいう。

一 同一の需要者に同種又は類似の商品又は役務を供給すること

二 同一の供給者から同種又は類似の商品又は役務の供給を受けること

⑤ この法律において「私的独占」とは、事業者が、単独に、又は他の事業者と結合し、若しくは通謀し、その他いかなる方法をもつてするかを問わず、他の事業者の事業活動を排除し、又は支配することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいう。

 

第三条 事業者は、私的独占又は不当な取引制限をしてはならない。