真正の所有権者からの登記簿上の所有名義人に対する移転登記請求の許容 土地所有権移転登記手続 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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真正の所有権者からの登記簿上の所有名義人に対する移転登記請求の許容

 

 

              土地所有権移転登記手続請求事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷判決/昭和51年(オ)第673号

【判決日付】      昭和51年10月8日

【判示事項】      真正の所有権者からの登記簿上の所有名義人に対する移転登記請求の許容

【判決要旨】      不動産登記簿上の所有名義人は、真正の所有者に対し、その所有権の公示に協力すべき義務を有するものであるから、真正の所有者は、所有権に基づき所有名義人に対し所有権移転登記の請求をすることができる。

【参照条文】      民法177

【掲載誌】        金融法務事情809号79頁

【評釈論文】      登記先例解説集17巻2号126頁

 

所有権移転登記請求権は、所有権に基づく妨害排除請求権の1つである。

 

 

民法

(不動産に関する物権の変動の対抗要件)

第百七十七条 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

 

 

       理   由

 

 上告代理人中村健の上告理由第一点及び第二点について

 所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原審の認定にそわない事実を主張し、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用することができない。

 同第三点について

 不動産の登記簿上の所有名義人は、真正の所有者に対し、その所有権の公示に協力すべき義務を有するものであるから、真正の所有者は、所有権に基づき所有名義人に対し所有権移転登記の請求をすることができることは、当裁判所の判例とするところである(昭和三四年二月一二日第一小法廷判決・民集一三巻二号九一頁以下参照)。したがつて、原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。