百貨店会社がトルコ共和国において出店事業を計画し、現地法人に対し事業のため二回にわたり各一五〇〇万米ドルを貸付けをした場合において、取締役には、第二の貸付けを中止し、又は確実な保全措置をとる義務、その後出店事業計画を中止し、債権を回収すべき義務に違反するところはないとされた事例
損害賠償請求権査定の決定に対する異議事件
【事件番号】 東京地方裁判所判決/平成12年(ワ)第27221号
【判決日付】 平成16年9月28日
【判示事項】 一 民事再生手続が開始された百貨店経営会社の旧取締役の善管注意義務・忠実義務違反を理由とする損害賠償査定決定が取り消された事例
二 百貨店会社がトルコ共和国において出店事業を計画し、現地法人に対し事業のため二回にわたり各一五〇〇万米ドルを貸付けをした場合において、取締役には、第二の貸付けを中止し、又は確実な保全措置をとる義務、その後出店事業計画を中止し、債権を回収すべき義務に違反するところはないとされた事例
【参照条文】 商法266
民事再生法143
民事再生法145
【掲載誌】 判例時報1886号111頁
会社法
(株式会社と役員等との関係)
第三百三十条 株式会社と役員及び会計監査人との関係は、委任に関する規定に従う。
(忠実義務)
第三百五十五条 取締役は、法令及び定款並びに株主総会の決議を遵守し、株式会社のため忠実にその職務を行わなければならない。
民事再生法
(損害賠償請求権の査定の申立て等)
第百四十三条 裁判所は、法人である再生債務者について再生手続開始の決定があった場合において、必要があると認めるときは、再生債務者等の申立てにより又は職権で、役員の責任に基づく損害賠償請求権の査定の裁判をすることができる。
2 前項に規定する場合において、管財人が選任されていないときは、再生債権者も、同項の申立てをすることができる。
3 第一項の申立てをするときは、その原因となる事実を疎明しなければならない。
4 裁判所は、職権で査定の手続を開始する場合には、その旨の決定をしなければならない。
5 第一項の申立てがあったとき、又は職権による査定の手続の開始決定があったときは、時効の完成猶予及び更新に関しては、裁判上の請求があったものとみなす。
6 査定の手続(第一項の査定の裁判があった後のものを除く。)は、再生手続が終了したときは、終了する。
(査定の裁判に対する異議の訴え)
第百四十五条 第百四十三条第一項の査定の裁判に不服がある者は、その送達を受けた日から一月の不変期間内に、異議の訴えを提起することができる。
2 前項の訴えは、再生裁判所が管轄する。
3 第一項の訴え(次項の訴えを除く。)は、これを提起する者が、役員であるときは第百四十三条第一項の申立てをした者を、同項の申立てをした者であるときは役員を、それぞれ被告としなければならない。
4 職権でされた査定の裁判に対する第一項の訴えは、これを提起する者が、役員であるときは再生債務者等を、再生債務者等であるときは役員を、それぞれ被告としなければならない。