岩手教組事件・地方公務員法37条1項、61条4号の合憲性 地方公務員法違反、道路交通法違反 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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岩手教組事件・地方公務員法37条1項、61条4号の合憲性

 

 

              地方公務員法違反、道路交通法違反被告事件

【事件番号】      最高裁判所大法廷判決/昭和44年(あ)第1275号

【判決日付】      昭和51年5月21日

【判示事項】      1、地方公務員法37条1項、61条4号の合憲性

             2、地方公務員法61条4号の法意

             3、昭和36年度全国中学校一せい学力調査実施のため中学校に赴こうとするテスト立会人らを道路上で阻止した行為につき道路交通法120条1項9号、76条4項2号の罪の成立を否定した原判決が刑訴法411条1号にあたるとされた事例

【判決要旨】      1、地方公務員法37条1項は憲法28条に、地方公務員法第1条4号は憲法18条、28条に違反しない。

             2、地方公務員法61条4号は、地方公務員の為議行為に違法性の強いものと弱いものとを区別して前者のみが右法条にいう争議行為にあたるものとし、また、右争議行為の遂行を共謀し、そそのかし、又はあおる等の行為のうちいわゆる争議行為に通常随伴する行為を刑事制裁の対象から除外する趣旨と解すべきではない。

             3、昭和26年度全国中学校一せい学力調査実施のため中学校に赴こうとするテスト立会人らを道路上で阻止した本件行為(判文参照)につき、道路交通法120条1項9号、76条4項2号に該当するとしながら、正当な団体行動権の行使にあたることを理由に違法性が阻却されるとした原判決は、法令の解釈適用を誤り、かつ、これを放棄しなければ著しく正義に反する場合にあたる。(1、2、につき補足意見及び意見が、3、につき反対意見がある。)

【参照条文】      憲法18

             憲法21

             憲法28

             地方公務員法37-1

             地方公務員法61

             刑法35

             道路交通法120-1

             道路交通法76-4

【掲載誌】        最高裁判所刑事判例集30巻5号1178頁

 

 

憲法

第十八条 何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。

 

第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

② 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

 

第二十六条 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。

② すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。

 

 

地方公務員法

(争議行為等の禁止)

第三十七条 職員は、地方公共団体の機関が代表する使用者としての住民に対して同盟罷業、怠業その他の争議行為をし、又は地方公共団体の機関の活動能率を低下させる怠業的行為をしてはならない。又、何人も、このような違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおつてはならない。

2 職員で前項の規定に違反する行為をしたものは、その行為の開始とともに、地方公共団体に対し、法令又は条例、地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程に基いて保有する任命上又は雇用上の権利をもつて対抗することができなくなるものとする。

 

第六十二条の二 何人たるを問わず、第三十七条第一項前段に規定する違法な行為の遂行を共謀し、唆し、若しくはあおり、又はこれらの行為を企てた者は、三年以下の禁錮又は百万円以下の罰金に処する。