被告人両名(実母及び養父)が,3歳児の子に,暴行を加えて傷害を負わせ死亡させたという各傷害,傷害致死,暴行の事案
各傷害,傷害致死,暴行被告事件
【事件番号】 福岡地方裁判所小倉支部判決/令和2年(わ)第542号、令和2年(わ)第592号、令和2年(わ)第644号
【判決日付】 令和3年11月5日
【判示事項】 被告人両名(実母及び養父)が,3歳児の子に,暴行を加えて傷害を負わせ死亡させたという各傷害,傷害致死,暴行の事案。
裁判所は,両名のメッセージのやり取りから,両名はさしたる抵抗感もなく子の意に沿わない言動をきっかけとして同人に暴力を振るうようになっていたものと推認でき,やり取りを介して実母が養父による暴力の反復,増長に与えた影響は大きく,養父の暴力は実母の意向を反映したものとなっていたとし,傷害致死事件における原因暴行は,いずれも包括的共謀に基づき行われたものと認め,各犯行は,両名の言動が相互に影響し合い,子に対する暴力の抵抗感を失わせていく過程で起こるべくして起こったものとみられるから,両名の犯情の重さに大差はないとし,それぞれ懲役12年に処した事例
【掲載誌】 LLI/DB 判例秘書登載
【評釈論文】 法学教室500号106頁
刑法
(傷害)
第二百四条 人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
(傷害致死)
第二百五条 身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、三年以上の有期懲役に処する。
(暴行)
第二百八条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。