入会権確認の訴は固有必要的共同訴訟か
所有権移転登記手続等請求事件
【事件番号】 最高裁判所第2小法廷判決/昭和34年(オ)第650号
【判決日付】 昭和41年11月25日
【判示事項】 入会権確認の訴は固有必要的共同訴訟か
【判決要旨】 入会権確認の訴は、入会権が共有の性質を有するかどうかを問わず、入会権者全員で提起することを要する固有必要的共同訴訟である。
【参照条文】 民法263
民法294
民事訴訟法62
【掲載誌】 最高裁判所民事判例集20巻9号1921頁
固有必要的共同訴訟
固有必要的共同訴訟とは、最初(訴え提起)から最後(判決、和解、上訴など)まで当事者全員が共同訴訟とすることが法律上強制される場合のことです。
数人が共同してはじめて当事者適格が認められる訴訟と言われます。
民事訴訟法においては、固有必要的共同訴訟が明文化されているわけではありませんが、種々の法律で共同訴訟とすべきことが規定されている場合があり、固有必要的共同訴訟という概念が認められています。
固有必要的共同訴訟とされているものは、いくつかの類型に分けられています。
①他人の権利の変動が生じる形成の訴えの場合
例えば、第三者が婚姻無効の訴え、婚姻取消の訴えを提起する場合、その夫婦を共同被告とする必要があり(人事訴訟法12条2項)、固有必要的共同訴訟となります。
②数人が共同して管理処分する財産に関する訴訟の場合③共有(共同所有)関係自体が訴訟物になる場合
例えば、共有関係自体の確認請求、共有地についての境界確定訴訟は、固有必要的共同訴訟です。
これに対し、賃借人が賃貸人の共同相続人に対して賃借権確認の訴えを提起する場合、共有者が不法占有者に対して妨害被排除請求の訴えを提起する場合、共有者が不法な登記の抹消登記請求訴訟を提起する場合は、固有必要的共同訴訟ではなく、個別の訴訟提起が可能というのが判例です。
固有必要的共同訴訟の場合、その審理について、通常共同訴訟とは異なるところがあります。
まず、最初から共同訴訟として提起しない限り、訴えが不適法として却下されます。
また、共同訴訟人の1人の訴訟行為は、全員にとって有利なものは全員に効力が生じますが、不利なものは全員が揃ってしない限り効力が全く生じません(民事訴訟法40条1項)。これにより、自白、請求の放棄、請求の認諾は、共同訴訟人全員が行わなければ効力が発生しません。共同訴訟人が訴えを取り下げるときは、共同訴訟人全員が共同で訴えの取下げをする必要があります。
これに対し、共同訴訟人の相手方の訴訟行為は、1人に対してなされたものでも、共同訴訟人全員に対して効力が発生します(民事訴訟法40条2項)。
それから、共同訴訟人の1人について、手続の中断・中止の原因があるときは、共同訴訟人全員について訴訟の進行が停止されます(民事訴訟法40条3項)。
そして、共同訴訟人を別々の訴訟に分けるような弁論の分離は認められません。
さらに、共同訴訟人の1人が控訴、上告をすれば、共同訴訟人全員について判決は確定せず、共同訴訟全員が控訴人、上告人になるのが原則です。ただし、必要的共同訴訟である住民訴訟において、上訴をしなかった者は上訴人にならないとした判決があります。
入会権(いりあいけん)
一定の地域の住民が特定の森林、原野、漁場等を共同で利用する権利。民法で物権として認められている権利である。入会権の対象となっている土地を「入会地」という。
民法は、入会権を、利用する土地等を共有する性質がある場合と特定の目的に従って利用するだけの性質の場合に分類し、前者は所有権の共有の規定を、後者は地役権に規定をそれぞれ準用するとしたうえで、地域の慣習に従うとしている。もっとも、民法は入会権の内容についてなんら規定しておらず、その内容、効力等は地域の慣習によって定まることとなる。
入会権を有する人々の集団が「入会団体」で、その大部分は「代表者が定められていない権利能力なき社団」であると考えられている。そして、入会権による使用収益や入会地管理の形態は、慣習に応じて区々であって、明確でない場合もある。
なお、入会地の農林業上の利用を増進するため、「入会林野等に係る権利関係の近代化の助長に関する法律」に基づき、入会権利者の合意によって入会権を消滅させ権利関係を明確にするしくみが定められている。
個人的色彩の強い共有関係は固有必要的共同訴訟と考うべきではないであろう。
この点については、すでに、最高裁昭40・5・20第1小法廷判決(民集19巻4号859頁)が「土地の共有者は、その土地の一部が自己の所有に属すると主張する第三者に対し、各自単独で、係争地が自己の共有持分権に属することの確認を訴求することができる」と判示している。
しかし、入会権は総有関係であり、各権利者は、持分をもたずこれを処分することもできないという団体的関係であるから、個人法的な共有権と同一には論じられないであろう。
個人的色彩の強い共有関係は固有必要的共同訴訟と考うべきではないであろう。
この点については、すでに、最高裁昭40・5・20第1小法廷判決(民集19巻4号859頁)が「土地の共有者は、その土地の一部が自己の所有に属すると主張する第三者に対し、各自単独で、係争地が自己の共有持分権に属することの確認を訴求することができる」と判示している。
しかし、入会権は総有関係であり、各権利者は、持分をもたずこれを処分することもできないという団体的関係であるから、個人法的な共有権と同一には論じられないであろう。
民法
(共有の性質を有する入会権)
第二百六十三条 共有の性質を有する入会権については、各地方の慣習に従うほか、この節の規定を適用する。
(共有の性質を有しない入会権)
第二百九十四条 共有の性質を有しない入会権については、各地方の慣習に従うほか、この章の規定を準用する。
民事訴訟法
(必要的共同訴訟)
第四十条 訴訟の目的が共同訴訟人の全員について合一にのみ確定すべき場合には、その一人の訴訟行為は、全員の利益においてのみその効力を生ずる。
2 前項に規定する場合には、共同訴訟人の一人に対する相手方の訴訟行為は、全員に対してその効力を生ずる。
3 第一項に規定する場合において、共同訴訟人の一人について訴訟手続の中断又は中止の原因があるときは、その中断又は中止は、全員についてその効力を生ずる。
4 第三十二条第一項の規定は、第一項に規定する場合において、共同訴訟人の一人が提起した上訴について他の共同訴訟人である被保佐人若しくは被補助人又は他の共同訴訟人の後見人その他の法定代理人のすべき訴訟行為について準用する。