平成元年改正前の法例の下における出生以外の事由により嫡出性を取得する場合の嫡出親子関係の成立の準拠法
所有権移転登記手続等請求事件
【事件番号】 最高裁判所第1小法廷判決/平成7年(オ)第1203号
【判決日付】 平成12年1月27日
【判示事項】 1 渉外的な法律関係においてある法律問題を解決するために不可欠の前提問題の準拠法を決定する方法
2 渉外親子関係の成立の判断方法
3 平成元年法律第27号による改正前の法例の下における出生以外の事由により嫡出性を取得する場合の嫡出親子関係の成立の準拠法
4 平成元年法律第27号による改正前の法例の下における血縁関係がない者の間における嫡出以外の親子関係の準拠法
【判決要旨】 1 渉外的な法律関係において、ある法律問題(本問題)を解決するために不可欠の前提問題が国際私法上本問題とは個別の法律関係を構成している場合、その前提問題の準拠法は、法廷地である我が国の国際私法により定めるべきである。
2 渉外親子関係の成立の判断は、まず嫡出親子関係の成立についてその準拠法を適用し、嫡出親子関係が否定された場合には、嫡出以外の親子関係の成立についてその準拠法を適用して行うべきである。
3 平成元年法律第27号による改正前の法例の下において、出生以外の事由により嫡出性を取得する場合の嫡出親子関係の成立の準拠法は、嫡出性を取得する原因となるべき事実が完成した当時の母の夫の本国法である。
4 平成元年法律第27号による改正前の法例の下において、血縁関係がない者の間における嫡出以外の親子関係の成立は、右親子関係を成立させる原因となるべき事実が完成した当時の親の本国法及び子の本国法の双方が右親子関係の成立を肯定する場合に認められる。
【参照条文】 法例
法例(平元法27号改正前)17
法例(平元法27号改正前)18-1
法例22
【掲載誌】 最高裁判所民事判例集54巻1号1頁
平成十八年法律第七十八号
法の適用に関する通則法
(嫡出である子の親子関係の成立)
第二十八条 夫婦の一方の本国法で子の出生の当時におけるものにより子が嫡出となるべきときは、その子は、嫡出である子とする。
2 夫が子の出生前に死亡したときは、その死亡の当時における夫の本国法を前項の夫の本国法とみなす。
(嫡出でない子の親子関係の成立)
第二十九条 嫡出でない子の親子関係の成立は、父との間の親子関係については子の出生の当時における父の本国法により、母との間の親子関係についてはその当時における母の本国法による。この場合において、子の認知による親子関係の成立については、認知の当時における子の本国法によればその子又は第三者の承諾又は同意があることが認知の要件であるときは、その要件をも備えなければならない。
2 子の認知は、前項前段の規定により適用すべき法によるほか、認知の当時における認知する者又は子の本国法による。この場合において、認知する者の本国法によるときは、同項後段の規定を準用する。
3 父が子の出生前に死亡したときは、その死亡の当時における父の本国法を第一項の父の本国法とみなす。前項に規定する者が認知前に死亡したときは、その死亡の当時におけるその者の本国法を同項のその者の本国法とみなす。