破壊活動防止法二九条及び四〇条のせん動を処罰する規定と憲法二一条一項
破壊活動防止法違反被告事件
【事件番号】 最高裁判所第2小法廷判決/昭和63年(あ)第1292号
【判決日付】 平成2年9月28日
【判示事項】 破壊活動防止法二九条及び四〇条のせん動を処罰する規定と憲法二一条一項
【判決要旨】 破壊活動防止法三九条及び四〇条のせん動を処罰する規定は、憲法二一条一項に違反しない。
【参照条文】 破壊活動防止法4-2
破壊活動防止法39
破壊活動防止法40
憲法21-1
【掲載誌】 最高裁判所刑事判例集44巻6号463頁
破壊活動防止法
(定義)
第四条 この法律で「暴力主義的破壊活動」とは、次に掲げる行為をいう。
一
イ 刑法(明治四十年法律第四十五号)第七十七条(内乱)、第七十八条(予備及び陰謀)、第七十九条(内乱等幇助)、第八十一条(外患誘致)、第八十二条(外患援助)、第八十七条(未遂罪)又は第八十八条(予備及び陰謀)に規定する行為をなすこと。
ロ この号イに規定する行為の教唆をなすこと。
ハ 刑法第七十七条、第八十一条又は第八十二条に規定する行為を実行させる目的をもつて、その行為のせヽんヽ動をなすこと。
ニ 刑法第七十七条、第八十一条又は第八十二条に規定する行為を実行させる目的をもつて、その実行の正当性又は必要性を主張した文書又は図画を印刷し、頒布し、又は公然掲示すること。
ホ 刑法第七十七条、第八十一条又は第八十二条に規定する行為を実行させる目的をもつて、無線通信又は有線放送により、その実行の正当性又は必要性を主張する通信をなすこと。
二 政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対する目的をもつて、次に掲げる行為の一をなすこと。
イ 刑法第百六条(騒乱)に規定する行為
ロ 刑法第百八条(現住建造物等放火)又は第百九条第一項(非現住建造物等放火)に規定する行為
ハ 刑法第百十七条第一項前段(激発物破裂)に規定する行為
ニ 刑法第百二十五条(往来危険)に規定する行為
ホ 刑法第百二十六条第一項又は第二項(汽車転覆等)に規定する行為
ヘ 刑法第百九十九条(殺人)に規定する行為
ト 刑法第二百三十六条第一項(強盗)に規定する行為
チ 爆発物取締罰則(明治十七年太政官布告第三十二号)第一条(爆発物使用)に規定する行為
リ 検察若しくは警察の職務を行い、若しくはこれを補助する者、法令により拘禁された者を看守し、若しくは護送する者又はこの法律の規定により調査に従事する者に対し、凶器又は毒劇物を携え、多衆共同してなす刑法第九十五条(公務執行妨害及び職務強要)に規定する行為
ヌ この号イからリまでに規定する行為の一の予備、陰謀若しくは教唆をなし、又はこの号イからリまでに規定する行為の一を実行させる目的をもつてその行為のせヽんヽ動をなすこと。
2 この法律で「せヽんヽ動」とは、特定の行為を実行させる目的をもつて、文書若しくは図画又は言動により、人に対し、その行為を実行する決意を生ぜしめ又は既に生じている決意を助長させるような勢のある刺激を与えることをいう。
3 この法律で「団体」とは、特定の共同目的を達成するための多数人の継続的結合体又はその連合体をいう。但し、ある団体の支部、分会その他の下部組織も、この要件に該当する場合には、これに対して、この法律による規制を行うことができるものとする。
(政治目的のための放火の罪の予備等)
第三十九条 政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対する目的をもつて、刑法第百八条、第百九条第一項、第百十七条第一項前段、第百二十六条第一項若しくは第二項、第百九十九条若しくは第二百三十六条第一項の罪の予備、陰謀若しくは教唆をなし、又はこれらの罪を実行させる目的をもつてするその罪のせヽんヽ動をなした者は、五年以下の懲役又は禁こヽに処する。
(政治目的のための騒乱の罪の予備等)
第四十条 政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対する目的をもつて、左の各号の罪の予備、陰謀若しくは教唆をなし、又はこれらの罪を実行させる目的をもつてするその罪のせヽんヽ動をなした者は、三年以下の懲役又は禁こヽに処する。
一 刑法第百六条の罪
二 刑法第百二十五条の罪
三 検察若しくは警察の職務を行い、若しくはこれを補助する者、法令により拘禁された者を看守し、若しくは護送する者又はこの法律の規定により調査に従事する者に対し、凶器又は毒劇物を携え、多衆共同してなす刑法第九十五条の罪
憲法
第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
② 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。