泉佐野市事件・特別地方交付税の額の決定取消請求事件
特別地方交付税の額の決定取消請求事件
【事件番号】 大阪地方裁判所判決/令和2年(行ウ)第66号
【判決日付】 令和4年3月10日
【判示事項】 1 地方交付税法15条2項に基づき総務大臣が行う特別交付税の額の決定は、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるか
2 地方交付税法15条2項に基づく総務大臣による特別交付税の額の決定を受けた地方団体は、当該決定の取消しを求める訴えの利益を有するか
3 特別交付税に関する省令附則5条21項(令和2年総務省令第111号による改正前のもの)及び同附則7条15項(令和2年総務省令第12号による改正前のもの)の各規定の法適合性
【判決要旨】 1 地方交付税法15条2項に基づき総務大臣が行う特別交付税の額の決定は、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。
2 地方交付税法15条2項に基づく総務大臣による特別交付税の額の決定を受けた地方団体は、当該決定の取消しを求める訴えの利益を有する。
3 特別交付税に関する省令附則5条21項(令和2年総務省令第111号による改正前のもの)及び同附則7条15項(令和2年総務省令第12号による改正前のもの)の各規定は、いずれも地方交付税法15条1項の委任の範囲を逸脱した違法なものとして無効である。
【参照条文】 地方交付税法15-1
地方交付税法15-2
特別交付税に関する省令附則(令和2年総務省令第111号による改正前のもの)5-21
特別交付税に関する省令附則(令和2年総務省令第12号による改正前のもの)7-15
【掲載誌】 判例時報2532号12頁
LLI/DB 判例秘書登載
【評釈論文】 法学教室502号116頁
地方財務818号186頁
地方交付税法
(特別交付税の額の算定)
第十五条 特別交付税は、第十一条に規定する基準財政需要額の算定方法によつては捕捉されなかつた特別の財政需要があること、第十四条の規定により算定された基準財政収入額のうちに著しく過大に算定された財政収入があること、交付税の額の算定期日後に生じた災害(その復旧に要する費用が国の負担によるものを除く。)等のため特別の財政需要があり、又は財政収入の減少があることその他特別の事情があることにより、基準財政需要額又は基準財政収入額の算定方法の画一性のため生ずる基準財政需要額の算定過大又は基準財政収入額の算定過少を考慮しても、なお、普通交付税の額が財政需要に比して過少であると認められる地方団体に対して、総務省令で定めるところにより、当該事情を考慮して交付する。
2 総務大臣は、総務省令で定めるところにより、前項の規定により各地方団体に交付すべき特別交付税の額を、毎年度、二回に分けて決定するものとし、その決定は、第一回目は十二月中に、第二回目は三月中に行わなければならない。この場合において、第一回目の特別交付税の額の決定は、その総額が当該年度の特別交付税の総額のおおむね三分の一に相当する額以内の額となるように行うものとする。
3 激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律第二条第一項に規定する激甚災害その他の事由であつて、関係地方団体の財政運営に特に著しい影響を及ぼし、又は及ぼすおそれがあると認められるものが発生したことにより、前項の規定により難い場合における関係地方団体に交付すべき特別交付税の額の決定については、総務省令で定めるところにより、決定時期及び決定時期ごとに決定すべき額に関し特例を設けることができる。
4 総務大臣は、第二項前段又は前項の規定により特別交付税の額を決定したときは、これを当該地方団体に通知しなければならない。
(交付時期)
第十六条 交付税は、毎年度、左の表の上欄に掲げる時期に、それぞれの下欄に定める額を交付する。ただし、四月及び六月において交付すべき交付税については、当該年度において交付すべき普通交付税の額が前年度の普通交付税の額に比して著しく減少することとなると認められる地方団体又は前年度においては普通交付税の交付を受けたが、当該年度においては普通交付税の交付を受けないこととなると認められる地方団体に対しては、当該交付すべき額の全部又は一部を交付しないことができる。
交付時期 |
交付時期ごとに交付すべき額 |
四月及び六月 |
前年度の当該地方団体に対する普通交付税の額に当該年度の交付税の総額の前年度の交付税の総額に対する割合を乗じて得た額のそれぞれ四分の一に相当する額 |
九月 |
当該年度において交付すべき当該地方団体に対する普通交付税の額から四月及び六月に交付した普通交付税の額を控除した残額の二分の一に相当する額 |
十一月 |
当該年度において交付すべき当該地方団体に対する普通交付税の額から既に交付した普通交付税の額を控除した額 |
十二月 |
前条第二項の規定により十二月中に総務大臣が決定する額 |
三月 |
前条第二項の規定により三月中に総務大臣が決定する額 |
2 当該年度の国の予算の成立しないこと、国の予算の追加又は修正により交付税の総額に変更があつたこと、大規模な災害があつたこと等の事由により、前項の規定により難い場合における交付税の交付時期及び交付時期ごとに交付すべき額については、国の暫定予算の額及びその成立の状況、交付税の総額の変更の程度、前年度の交付税の額、大規模な災害による特別の財政需要の額等を参しやくして、総務省令で定めるところにより、特例を設けることができる。
3 道府県又は市町村が前二項の規定により各交付時期に交付を受けた交付税の額が当該年度分として交付を受けるべき交付税の額をこえる場合においては、当該道府県又は市町村は、その超過額を遅滞なく、国に還付しなければならない。
4 第一項の場合において、四月一日以前一年内及び四月二日から当該年度の普通交付税の四月又は六月に交付すべき額が交付されるまでの間に地方団体の廃置分合又は境界変更があつた場合における前年度の関係地方団体の交付税の額の算定方法は、第九条の規定に準じ、総務省令で定める。