地方公共団体の議会の議決と地方自治法第243条の2第4項の訴訟 地方自治法に基く警察予算支出 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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地方公共団体の議会の議決と地方自治法第243条の2第4項の訴訟

 

 

地方自治法に基く警察予算支出禁止事件

【事件番号】      最高裁判所大法廷判決/昭和31年(オ)第61号

【判決日付】      昭和37年3月7日

【判示事項】      1、地方公共団体の議会の議決と地方自治法第243条の2第4項の訴訟

             2、法令審査権と国会の両院における法律制定の議事手続

             3、市町村警察を廃止しその事務を都道府県警察に移した昭和29年法律第162号警察法は、憲法第92条に違反するか

【判決要旨】      1、地方公共団体の議会の議決があつた公金の支出についても、地方自治法第243条の2第4項の訴訟によりその禁止、制限等を求めることができる。

             2、裁判所の法令審査権は、国会の両院における法律制定の議事手続の適否には及ばないと解すべきである。

             3、市町村警察を廃止しその事務を都道府県警察に移した昭和29年法律第162号警察法は、憲法第92条に違反するものではない。

             (少数意見及び補足意見がある。)

【参照条文】      地方自治法243の2

             憲法59

             憲法81

             憲法92

             警察法(昭和23年法律第196号)40

             警察法(昭和29年法律第162号)36

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集16巻3号445頁

 

 

地方自治法

(普通地方公共団体の長等の損害賠償責任の一部免責)

第二百四十三条の二 普通地方公共団体は、条例で、当該普通地方公共団体の長若しくは委員会の委員若しくは委員又は当該普通地方公共団体の職員(次条第三項の規定による賠償の命令の対象となる者を除く。以下この項において「普通地方公共団体の長等」という。)の当該普通地方公共団体に対する損害を賠償する責任を、普通地方公共団体の長等が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは、普通地方公共団体の長等が賠償の責任を負う額から、普通地方公共団体の長等の職責その他の事情を考慮して政令で定める基準を参酌して、政令で定める額以上で当該条例で定める額を控除して得た額について免れさせる旨を定めることができる。

2 普通地方公共団体の議会は、前項の条例の制定又は改廃に関する議決をしようとするときは、あらかじめ監査委員の意見を聴かなければならない。

3 前項の規定による意見の決定は、監査委員の合議によるものとする。

 

 

憲法

第五十九条 法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。

② 衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したときは、法律となる。

③ 前項の規定は、法律の定めるところにより、衆議院が、両議院の協議会を開くことを求めることを妨げない。

④ 参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて六十日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。

 

第八十一条 最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。

 

第九十二条 地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。

 

 

警察法

(設置及び責務)

第三十六条 都道府県に、都道府県警察を置く。

2 都道府県警察は、当該都道府県の区域につき、第二条の責務に任ずる。

 

(委員の任期)

第四十条 委員の任期は、三年とする。但し、補欠の委員は、前任者の残任期間在任する。

2 委員は、二回に限り再任されることができる。