広島市新交通システム(アストムライン)のための橋桁が架設中に落下し、通行中の自動車内の運転者らを | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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広島市新交通システム(アストムライン)のための橋桁が架設中に落下し、通行中の自動車内の運転者らを死亡させた事故につき、請負人、下請負人の使用者責任、注文者である市の過失責任が認められ、補助金を支出した国の損害賠償責任が否定された事例

 

 

損害賠償請求事件

【事件番号】      広島地方裁判所判決/平成4年(ワ)第1032号

【判決日付】      平成10年3月24日

【判示事項】      新交通システムのための橋桁が架設中に落下し、通行中の自動車内の運転者らを死亡させた事故につき、請負人、下請負人の使用者責任、注文者である市の過失責任が認められ、補助金を支出した国の損害賠償責任が否定された事例

【参照条文】      民法709

             民法715

             民法716

             国家賠償法

【掲載誌】        判例タイムズ988号215頁

             判例時報1638号32頁

【評釈論文】      判例評論479号28頁

             法律時報別冊私法判例リマークス20号74頁

             法律時報別冊私法判例リマークス20号62頁

 

 

民法

(不法行為による損害賠償)

第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

 

(使用者等の責任)

第七百十五条 ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。

2 使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。

3 前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。

 

(注文者の責任)

第七百十六条 注文者は、請負人がその仕事について第三者に加えた損害を賠償する責任を負わない。ただし、注文又は指図についてその注文者に過失があったときは、この限りでない。

 

 

国家賠償法

第三条 前二条の規定によつて国又は公共団体が損害を賠償する責に任ずる場合において、公務員の選任若しくは監督又は公の営造物の設置若しくは管理に当る者と公務員の俸給、給与その他の費用又は公の営造物の設置若しくは管理の費用を負担する者とが異なるときは、費用を負担する者もまた、その損害を賠償する責に任ずる。

② 前項の場合において、損害を賠償した者は、内部関係でその損害を賠償する責任ある者に対して求償権を有する。

 

 

 

アストラムラインは、本通駅(広島市中区)と広域公園前駅(広島市安佐南区)を結ぶ18.4kmの案内軌条式鉄道(モノレール)で、AGT(Automated Guideway Transitの略)と呼ばれる自動案内軌条式旅客輸送システムにより自動運転が行なわれている。

 

開業は平成6年(1994年)8月である。