信用組合の貸出稟議書が民訴法(平成一三年改正前)二二〇条四号ハ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たるとはいえない特段の事情があるとされた事例
文書提出命令に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
【事件番号】 最高裁判所第2小法廷決定/平成13年(許)第15号
【判決日付】 平成13年12月7日
【判示事項】 信用組合の貸出稟議書が民訴法(平成一三年法律第九六号による改正前のもの)二二〇条四号ハ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たるとはいえない特段の事情があるとされた事例
【判決要旨】 信用組合の作成した貸出稟議書の所持者は、預金保険機構から委託を受け、同機構に代わって、破たんした金融機関等からその資産を買い取り、その管理及び処分を行うことを主な業務とする株式会社であり、経営が破たんした信用組合からその営業の全部を譲り受けたことに伴い、貸出稟議書を所持するに至ったものであること、その信用組合は、清算中であって、将来においても、貸付業務等を自ら行うことはないこと、所持者は法律の規定に基づいてその信用組合の貸し付けた債権等の回収に当たっているものであって、当該貸出稟議書の提出を命じられることにより、所持者において自由な意見の表明に支障を来しその自由な意思形成が阻害されるおそれがあるものとは考えられないことという事実関係等の下では、当該貸出菓議書につき、民訴法(平一三法九六号改正前)二二〇条四号ハ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たるとはいえない特段の事情がある。
【参照条文】 民事訴訟法(平成13年法96号改正前)220
【掲載誌】 最高裁判所民事判例集55巻7号1411頁
民事訴訟法
(文書提出義務)
第二百二十条 次に掲げる場合には、文書の所持者は、その提出を拒むことができない。
一 当事者が訴訟において引用した文書を自ら所持するとき。
二 挙証者が文書の所持者に対しその引渡し又は閲覧を求めることができるとき。
三 文書が挙証者の利益のために作成され、又は挙証者と文書の所持者との間の法律関係について作成されたとき。
四 前三号に掲げる場合のほか、文書が次に掲げるもののいずれにも該当しないとき。
イ 文書の所持者又は文書の所持者と第百九十六条各号に掲げる関係を有する者についての同条に規定する事項が記載されている文書
ロ 公務員の職務上の秘密に関する文書でその提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの
ハ 第百九十七条第一項第二号に規定する事実又は同項第三号に規定する事項で、黙秘の義務が免除されていないものが記載されている文書
ニ 専ら文書の所持者の利用に供するための文書(国又は地方公共団体が所持する文書にあっては、公務員が組織的に用いるものを除く。)
ホ 刑事事件に係る訴訟に関する書類若しくは少年の保護事件の記録又はこれらの事件において押収されている文書