原告名義の普通預金口座が「犯罪利用預金口座」(犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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原告名義の普通預金口座が「犯罪利用預金口座」(犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律2条4項2号)に該当しないなどとされた事例

 

 

              預金返還請求事件

【事件番号】      東京地方裁判所判決/平成31年(ワ)第3572号

【判決日付】      令和2年6月30日

【判示事項】      原告名義の普通預金口座が「犯罪利用預金口座」(犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律2条4項2号)に該当しないなどとされた事例

【判決要旨】      原告名義の預金口座から金融商品取引法違反行為が認定された者に送金がされるなどしていても、その者との間で契約関係があるなどの事実があることからすれば、上記送金が、その振込の振込先となった法2条4項1号の犯罪利用預金口座等に係る資金を移転する目的でされ、その振込に係る資金と実質的に同じであるとは認められない。

             その上、仮に被告が上記口座について取引停止措置を取った時点で上記措置を取ることに相当な理由があったとしても、その後、原告が預金債権消滅手続の解除を求めるなどしたことや、被告が預金口座の取引停止措置を講じてから既に2年以上経過しているが、この間、上記の金融商品取引法違反行為を認定された者らの行為を理由とした請求や差押え手続等がされたことは認められないことからすれば、上記措置を継続する必要性があるとは認め難い。

【参照条文】      犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律2-4

             犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律3-1

             犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律4-1

             商法(平成29年法律45号による改正前のもの)514

【掲載誌】        判例時報2491号47頁

             金融法務事情2163号77頁

 

 

犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律

(定義)

第二条 この法律において「金融機関」とは、次に掲げるものをいう。

一 銀行

二 信用金庫

三 信用金庫連合会

四 労働金庫

五 労働金庫連合会

六 信用協同組合

七 信用協同組合連合会

八 農業協同組合

九 農業協同組合連合会

十 漁業協同組合

十一 漁業協同組合連合会

十二 水産加工業協同組合

十三 水産加工業協同組合連合会

十四 農林中央金庫

十五 株式会社商工組合中央金庫

2 この法律において「預金口座等」とは、預金口座又は貯金口座(金融機関により、預金口座又は貯金口座が犯罪行為に利用されたこと等を理由として、これらの口座に係る契約を解約しその資金を別段預金等により管理する措置がとられている場合におけるこれらの口座であったものを含む。)をいう。

3 この法律において「振込利用犯罪行為」とは、詐欺その他の人の財産を害する罪の犯罪行為であって、財産を得る方法としてその被害を受けた者からの預金口座等への振込みが利用されたものをいう。

4 この法律において「犯罪利用預金口座等」とは、次に掲げる預金口座等をいう。

一 振込利用犯罪行為において、前項に規定する振込みの振込先となった預金口座等

二 専ら前号に掲げる預金口座等に係る資金を移転する目的で利用された預金口座等であって、当該預金口座等に係る資金が同号の振込みに係る資金と実質的に同じであると認められるもの

5 この法律において「被害回復分配金」とは、第七条の規定により消滅した預金又は貯金(以下「預金等」という。)に係る債権の額に相当する額の金銭を原資として金融機関により支払われる金銭であって、振込利用犯罪行為により失われた財産の価額を基礎として第四章の規定によりその金額が算出されるものをいう。

第二章 預金口座等に係る取引の停止等の措置

第三条 金融機関は、当該金融機関の預金口座等について、捜査機関等から当該預金口座等の不正な利用に関する情報の提供があることその他の事情を勘案して犯罪利用預金口座等である疑いがあると認めるときは、当該預金口座等に係る取引の停止等の措置を適切に講ずるものとする。

2 金融機関は、前項の場合において、同項の預金口座等に係る取引の状況その他の事情を勘案して当該預金口座等に係る資金を移転する目的で利用された疑いがある他の金融機関の預金口座等があると認めるときは、当該他の金融機関に対して必要な情報を提供するものとする。

第三章 預金等に係る債権の消滅手続

(公告の求め)

第四条 金融機関は、当該金融機関の預金口座等について、次に掲げる事由その他の事情を勘案して犯罪利用預金口座等であると疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、速やかに、当該預金口座等について現に取引の停止等の措置が講じられていない場合においては当該措置を講ずるとともに、主務省令で定めるところにより、預金保険機構に対し、当該預金口座等に係る預金等に係る債権について、主務省令で定める書類を添えて、当該債権の消滅手続の開始に係る公告をすることを求めなければならない。

一 捜査機関等から当該預金口座等の不正な利用に関する情報の提供があったこと。

二 前号の情報その他の情報に基づいて当該預金口座等に係る振込利用犯罪行為による被害の状況について行った調査の結果

三 金融機関が有する資料により知ることができる当該預金口座等の名義人の住所への連絡その他の方法による当該名義人の所在その他の状況について行った調査の結果

四 当該預金口座等に係る取引の状況

2 前項の規定は、次の各号のいずれかに該当するときは、適用しない。

一 前項に規定する預金口座等についてこれに係る預金等の払戻しを求める訴え(以下この章において「払戻しの訴え」という。)が提起されているとき又は当該預金等に係る債権について強制執行、仮差押え若しくは仮処分の手続その他主務省令で定める手続(以下この章において「強制執行等」という。)が行われているとき。

二 振込利用犯罪行為により被害を受けたと認められる者の状況その他の事情を勘案して、この法律に規定する手続を実施することが適当でないと認められる場合として、主務省令で定める場合に該当するとき。

3 金融機関は、第一項の預金口座等に係る取引の状況その他の事情を勘案して当該預金口座等に係る資金を移転する目的で利用されたと疑うに足りる相当な理由がある他の金融機関の預金口座等があると認めるときは、当該他の金融機関に対し、同項の預金口座等に係る主務省令で定める事項を通知しなければならない。