人身傷害保険の被保険者が保険事故により死亡した場合の保険金請求権の帰属
保険金請求控訴事件
【事件番号】 福岡高等裁判所判決/令和元年(ネ)第347号
【判決日付】 令和2年5月28日
【判示事項】 人身傷害保険の被保険者が保険事故により死亡した場合の保険金請求権の帰属
【判決要旨】 保険法施行後に締結された人身傷害補償保険契約の死亡保険金部分は、その約款に、①保険金請求権者を人身傷害事故によって損害を被った被保険者とすること、②被保険者が被保険車両の運行に起因する急激かつ外来の事故により身体に傷害を被ることによって被保険者が被る損害に対して、保険金を支払うこと、③保険者が支払うべき保険金の額は、約款所定の基準により算定される「損害額」および損害の一部とみなされる費用の合計額を限度額とし、上記「損害額」から保険金請求権者が賠償義務者から既に取得した損害賠償金の額およびその損害を補償するために支払われる給付で保険金請求権者に既に支払われたものを差し引いた額とすること、④保険金請求権者が他人に損害賠償の請求をすることができる場合は、保険者は、保険金請求権者に代位することなどの定めがあるという事実関係のもとにおいては、人身傷害損害保険契約(保険法2条7号)に該当し、死亡保険金請求権は、上記①の定めに「被保険者が死亡した場合は、その法定相続人とします」との注記があっても、被保険者に帰属する。
【参照条文】 保険法2
【掲載誌】 判例タイムズ1482号64頁
保険法
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 保険契約 保険契約、共済契約その他いかなる名称であるかを問わず、当事者の一方が一定の事由が生じたことを条件として財産上の給付(生命保険契約及び傷害疾病定額保険契約にあっては、金銭の支払に限る。以下「保険給付」という。)を行うことを約し、相手方がこれに対して当該一定の事由の発生の可能性に応じたものとして保険料(共済掛金を含む。以下同じ。)を支払うことを約する契約をいう。
二 保険者 保険契約の当事者のうち、保険給付を行う義務を負う者をいう。
三 保険契約者 保険契約の当事者のうち、保険料を支払う義務を負う者をいう。
四 被保険者 次のイからハまでに掲げる保険契約の区分に応じ、当該イからハまでに定める者をいう。
イ 損害保険契約 損害保険契約によりてん補することとされる損害を受ける者
ロ 生命保険契約 その者の生存又は死亡に関し保険者が保険給付を行うこととなる者
ハ 傷害疾病定額保険契約 その者の傷害又は疾病(以下「傷害疾病」という。)に基づき保険者が保険給付を行うこととなる者
五 保険金受取人 保険給付を受ける者として生命保険契約又は傷害疾病定額保険契約で定めるものをいう。
六 損害保険契約 保険契約のうち、保険者が一定の偶然の事故によって生ずることのある損害をてん補することを約するものをいう。
七 傷害疾病損害保険契約 損害保険契約のうち、保険者が人の傷害疾病によって生ずることのある損害(当該傷害疾病が生じた者が受けるものに限る。)をてん補することを約するものをいう。
八 生命保険契約 保険契約のうち、保険者が人の生存又は死亡に関し一定の保険給付を行うことを約するもの(傷害疾病定額保険契約に該当するものを除く。)をいう。
九 傷害疾病定額保険契約 保険契約のうち、保険者が人の傷害疾病に基づき一定の保険給付を行うことを約するものをいう。