本件は、原告らが、街頭演説に対して路上等から「安倍辞めろ」、「増税反対」などと声を上げたところ、北海道警察の警察官らに肩や腕などをつかまれて移動させられたり、長時間にわたって付きまとわれたりしたと主張して、被告に対し、国家賠償法1条1項に基づき、損害賠償を求める事案である。
国家賠償請求事件
【事件番号】 札幌地方裁判所判決/令和元年(ワ)第2369号
【判決日付】 令和4年3月25日
【判示事項】 1 本件は、原告らが、街頭演説に対して路上等から「安倍辞めろ」、「増税反対」などと声を上げたところ、北海道警察の警察官らに肩や腕などをつかまれて移動させられたり、長時間にわたって付きまとわれたりしたと主張して、被告に対し、国家賠償法1条1項に基づき、損害賠償を求める事案である。
2 裁判所は、当時、「生命若しくは身体」に危険を及ぼすおそれのある「危険な事態」にあったとか(警察官職務執行法4条1項)、「犯罪がまさに行われようと」していた(同法5条)などとは認められないことを踏まえ、警察官らの行為につき国家賠償法1条1項の適用上違法であり、原告らの表現の自由等の権利を侵害するものと判断して、原告らの請求を一部認容した。
【掲載誌】 LLI/DB 判例秘書登載
【評釈論文】 法学セミナー67巻7号108頁
法学教室502号115頁
国家賠償法
第一条 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。
② 前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。
主 文
1 被告は、原告1に対し、33万円及びこれに対する令和元年7月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 被告は、原告2に対し、55万円及びこれに対する令和元年7月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。
4 訴訟費用は、原告1と被告との間においてはこれを10分し、その9を原告1の負担とし、その余を被告の負担とし、原告2と被告との間においてはこれを6分し、その5を原告2の負担とし、その余を被告の負担とする。
事実及び理由
第1 請求
1 第1事件
被告は、原告1に対し、330万円及びこれに対する令和元年7月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 第2事件
被告は、原告2に対し、330万円及びこれに対する令和元年7月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
本件は、原告らが、街頭演説に対して路上等から「安倍辞めろ」、「増税反対」などと声を上げたところ、北海道警察の警察官らに肩や腕などをつかまれて移動させられたり、長時間にわたって付きまとわれたりしたと主張して、被告(北海道)に対し、国家賠償法1条1項に基づき、それぞれ損害賠償金330万円及びこれに対する不法行為日である令和元年7月15日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下同じ。)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
被告は、警察官らの行為は、警察官職務執行法(以下「警職法」という。)2条1項、4条1項及び5条並びに警察法2条の規定に基づく適法な職務執行であったと主張して、これを争っている。