裁判所は,本件ログは,専ら相手方内部の者の利用に供する目的で作成され,それ以外の外部の者に開示す | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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裁判所は,本件ログは,専ら相手方内部の者の利用に供する目的で作成され,それ以外の外部の者に開示することが予定されていない文書であって,特段の事情がない限り「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」(民訴法220条4号ニ)に当たるが,文書提出命令の申立人が,所持者である相手方と同一視することができる立場にあったことが認められ,本件文書を本件訴訟の追行の目的のみに使用し,その他の目的には一切使用しないとの誓約書を裁判所に提出していること等により相手方に看過しがたい不利益が生ずるおそれはなく,特段の事情がある場合に当たるとして文書の提出を命じた事例

 

 

              文書提出命令申立事件

【事件番号】      知的財産高等裁判所決定/平成28年(ウ)第10038号

【判決日付】      平成28年8月8日

【判示事項】      申立人が,相手方の所持する「ログ」につき文書提出命令を申し立てた事案。

裁判所は,本件ログは,専ら相手方内部の者の利用に供する目的で作成され,それ以外の外部の者に開示することが予定されていない文書であって,特段の事情がない限り「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」(民訴法220条4号ニ)に当たるが,文書提出命令の申立人が,所持者である相手方と同一視することができる立場にあったことが認められ,本件文書を本件訴訟の追行の目的のみに使用し,その他の目的には一切使用しないとの誓約書を裁判所に提出していること等により相手方に看過しがたい不利益が生ずるおそれはなく,特段の事情がある場合に当たるとして文書の提出を命じた事例

【掲載誌】        LLI/DB 判例秘書登載

 

 

民事訴訟法

(文書提出義務)

第二百二十条 次に掲げる場合には、文書の所持者は、その提出を拒むことができない。

一 当事者が訴訟において引用した文書を自ら所持するとき。

二 挙証者が文書の所持者に対しその引渡し又は閲覧を求めることができるとき。

三 文書が挙証者の利益のために作成され、又は挙証者と文書の所持者との間の法律関係について作成されたとき。

四 前三号に掲げる場合のほか、文書が次に掲げるもののいずれにも該当しないとき。

イ 文書の所持者又は文書の所持者と第百九十六条各号に掲げる関係を有する者についての同条に規定する事項が記載されている文書

ロ 公務員の職務上の秘密に関する文書でその提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの

ハ 第百九十七条第一項第二号に規定する事実又は同項第三号に規定する事項で、黙秘の義務が免除されていないものが記載されている文書

ニ 専ら文書の所持者の利用に供するための文書(国又は地方公共団体が所持する文書にあっては、公務員が組織的に用いるものを除く。)

ホ 刑事事件に係る訴訟に関する書類若しくは少年の保護事件の記録又はこれらの事件において押収されている文書

 

 

 

       主   文

 

 相手方は,相手方が所持する別紙文書目録記載の文書を提出せよ。

 

       理   由

 

第1 申立て

 1 文書の表示

 別紙文書目録記載の文書(以下「本件文書」という。)

 2 文書の趣旨

 本件文書は,ChatWork株式会社の提供するチャットワークといわれるコミュニケーションツール上でなされた相手方内部の情報共有の内容を記載したログである。相手方は,本件ゲーム開発をするに当たり,チャットワークを利用して,指示連絡や意見交換を含む情報を共有しながら作業を進めていたところ,チャットワークのうち「企画」と名付けられたチャットグループ(以下「本件チャットグループ」という。)は,本件ゲームの企画に関する内容を情報共有するグループであり,その参加者は,申立人,相手方代表者,A,B等である。

 本件文書には,本件ゲームのアイデア,ルール,ロジックに関する協議,決定したルール,ロジックに基づく指示連絡,仕様書の作成経過等が記載されているとともに,本件ゲームの開発過程における申立人の作業内容,指示内容等が記載されている。