欠損金額を減額する更正処分に対して不服申立を経由している場合と当該欠損金の繰戻しによる法人税の還 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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欠損金額を減額する更正処分に対して不服申立を経由している場合と当該欠損金の繰戻しによる法人税の還付請求を理由がないとする通知処分に対する不服申立経由の必要

 

 

法人税更正処分取消請求事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/昭和58年(行ツ)第85号

【判決日付】      昭和59年6月28日

【判示事項】      欠損金額を減額する更正処分に対して不服申立を経由している場合と当該欠損金の繰戻しによる法人税の還付請求を理由がないとする通知処分に対する不服申立経由の必要

【判決要旨】      欠損金の繰戻しによる前年度の法人税の還付請求を理由がないとする通知処分に対し取消の訴えを提起するためには、右通知処分と同時に同一の理由によりされた当該欠損金額を減額する更正処分に対し不服申立を経由している場合であつても、右通知処分に対する不服申立を経由することが必要である。

【参照条文】      国税通則法115-1

             行政事件訴訟法8-1

             法人税法81-6

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集38巻8号1029頁

 

 

 

国税通則法

(不服申立ての前置等)

第百十五条 国税に関する法律に基づく処分(第八十条第三項(行政不服審査法との関係)に規定する処分を除く。以下この節において同じ。)で不服申立てをすることができるものの取消しを求める訴えは、審査請求についての裁決を経た後でなければ、提起することができない。ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。

一 国税不服審判所長又は国税庁長官に対して審査請求がされた日の翌日から起算して三月を経過しても裁決がないとき。

二 更正決定等の取消しを求める訴えを提起した者が、その訴訟の係属している間に当該更正決定等に係る国税の課税標準等又は税額等についてされた他の更正決定等の取消しを求めようとするとき。

三 審査請求についての裁決を経ることにより生ずる著しい損害を避けるため緊急の必要があるとき、その他その裁決を経ないことにつき正当な理由があるとき。

2 国税に関する法律に基づく処分についてされた再調査の請求又は審査請求について決定又は裁決をした者は、その決定又は裁決をした時にその処分についての訴訟が係属している場合には、その再調査決定書又は裁決書の謄本をその訴訟が係属している裁判所に送付するものとする。

 

 

行政事件訴訟法

(処分の取消しの訴えと審査請求との関係)

第八条 処分の取消しの訴えは、当該処分につき法令の規定により審査請求をすることができる場合においても、直ちに提起することを妨げない。ただし、法律に当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消しの訴えを提起することができない旨の定めがあるときは、この限りでない。

2 前項ただし書の場合においても、次の各号の一に該当するときは、裁決を経ないで、処分の取消しの訴えを提起することができる。

一 審査請求があつた日から三箇月を経過しても裁決がないとき。

二 処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる著しい損害を避けるため緊急の必要があるとき。

三 その他裁決を経ないことにつき正当な理由があるとき。

3 第一項本文の場合において、当該処分につき審査請求がされているときは、裁判所は、その審査請求に対する裁決があるまで(審査請求があつた日から三箇月を経過しても裁決がないときは、その期間を経過するまで)、訴訟手続を中止することができる。