国税徴収法39条所定の第二次納税義務者が本来の納税義務者に対する課税処分につき国税通則法75条に基づく不服申立てをすることの可否
裁決取消請求事件
【事件番号】 最高裁判所第1小法廷判決/平成16年(行ヒ)第275号
【判決日付】 平成18年1月19日
【判示事項】 1 国税徴収法39条所定の第二次納税義務者が本来の納税義務者に対する課税処分につき国税通則法75条に基づく不服申立てをすることの可否
2 国税徴収法39条所定の第二次納税義務者が本来の納税義務者に対する課税処分につき国税通則法75条に基づく不服申立てをする場合の不服申立期間の起算日
【判決要旨】 1 国税徴収法39条所定の第二次納税義務者は,本来の納税義務者に対する課税処分につき国税通則法75条に基づく不服申立てをすることができる。
2 国税徴収法39条所定の第二次納税義務者が本来の納税義務者に対する課税処分につき国税通則法75条に基づく不服申立てをする場合における同法77条1項所定の不服申立期間の起算日は,当該第二次納税義務者に対する納付告知がされた日の翌日である。
(1,2につき,意見がある。)
【参照条文】 国税徴収法39
国税通則法75
国税通則法77-1
国税徴収法32-1
【掲載誌】 最高裁判所民事判例集60巻1号65頁
国税徴収法
(無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務)
第三十九条 滞納者の国税につき滞納処分の執行(租税条約等(租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律(昭和四十四年法律第四十六号)第二条第二号(定義)に規定する租税条約等をいう。)の規定に基づく当該租税条約等の相手国等(同条第三号に規定する相手国等をいう。)に対する共助対象国税(同法第十一条の二第一項(国税の徴収の共助)に規定する共助対象国税をいう。)の徴収の共助(第百五十三条第一項第一号(滞納処分の停止の要件等)並びに第百八十七条第一項及び第二項(罰則)において「租税条約等の相手国等に対する共助対象国税の徴収の共助」という。)の要請をした場合には、当該要請による徴収を含む。)をしてもなおその徴収すべき額に不足すると認められる場合において、その不足すると認められることが、当該国税の法定納期限の一年前の日以後に、滞納者がその財産につき行つた政令で定める無償又は著しく低い額の対価による譲渡(担保の目的でする譲渡を除く。)、債務の免除その他第三者に利益を与える処分に基因すると認められるときは、これらの処分により権利を取得し、又は義務を免れた者は、これらの処分により受けた利益が現に存する限度(これらの者がその処分の時にその滞納者の親族その他滞納者と特殊な関係のある個人又は同族会社(これに類する法人を含む。)で政令で定めるもの(第五十八条第一項(第三者が占有する動産等の差押手続)及び第百四十二条第二項第二号(捜索の権限及び方法)において「親族その他の特殊関係者」という。)であるときは、これらの処分により受けた利益の限度)において、その滞納に係る国税の第二次納税義務を負う。
国税通則法
(国税に関する処分についての不服申立て)
第七十五条 国税に関する法律に基づく処分で次の各号に掲げるものに不服がある者は、当該各号に定める不服申立てをすることができる。
一 税務署長、国税局長又は税関長がした処分(次項に規定する処分を除く。) 次に掲げる不服申立てのうちその処分に不服がある者の選択するいずれかの不服申立て
イ その処分をした税務署長、国税局長又は税関長に対する再調査の請求
ロ 国税不服審判所長に対する審査請求
二 国税庁長官がした処分 国税庁長官に対する審査請求
三 国税庁、国税局、税務署及び税関以外の行政機関の長又はその職員がした処分 国税不服審判所長に対する審査請求
2 国税に関する法律に基づき税務署長がした処分で、その処分に係る事項に関する調査が次の各号に掲げる職員によつてされた旨の記載がある書面により通知されたものに不服がある者は、当該各号に定める国税局長又は国税庁長官がその処分をしたものとそれぞれみなして、国税局長がしたものとみなされた処分については当該国税局長に対する再調査の請求又は国税不服審判所長に対する審査請求のうちその処分に不服がある者の選択するいずれかの不服申立てをし、国税庁長官がしたものとみなされた処分については国税庁長官に対する審査請求をすることができる。
一 国税局の当該職員 その処分をした税務署長の管轄区域を所轄する国税局長
二 国税庁の当該職員 国税庁長官
3 第一項第一号イ又は前項(第一号に係る部分に限る。)の規定による再調査の請求(法定の再調査の請求期間経過後にされたものその他その請求が適法にされていないものを除く。次項において同じ。)についての決定があつた場合において、当該再調査の請求をした者が当該決定を経た後の処分になお不服があるときは、その者は、国税不服審判所長に対して審査請求をすることができる。
4 第一項第一号イ又は第二項(第一号に係る部分に限る。)の規定による再調査の請求をしている者は、次の各号のいずれかに該当する場合には、当該再調査の請求に係る処分について、決定を経ないで、国税不服審判所長に対して審査請求をすることができる。
一 再調査の請求をした日(第八十一条第三項(再調査の請求書の記載事項等)の規定により不備を補正すべきことを求められた場合にあつては、当該不備を補正した日)の翌日から起算して三月を経過しても当該再調査の請求についての決定がない場合
二 その他再調査の請求についての決定を経ないことにつき正当な理由がある場合
5 国税に関する法律に基づく処分で国税庁、国税局、税務署又は税関の職員がしたものに不服がある場合には、それぞれその職員の所属する国税庁、国税局、税務署又は税関の長がその処分をしたものとみなして、第一項の規定を適用する。
(不服申立期間)
第七十七条1項 不服申立て(第七十五条第三項及び第四項(再調査の請求後にする審査請求)の規定による審査請求を除く。第三項において同じ。)は、処分があつたことを知つた日(処分に係る通知を受けた場合には、その受けた日)の翌日から起算して三月を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
本判決は,(1)第二次納税義務者は,主たる課税処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれがあり,その取消しによってこれを回復すべき法律上の利益を有するし,特に国税徴収法39条所定の第二次納税義務者は,常に本来の納税義務者と一体性又は親近性のある関係にあるということはできず,本来の納税義務者によって第二次納税義務者の訴権が十分に代理されているとみることは困難であるなどとして,同条所定の第二次納税義務者が主たる課税処分について不服申立て適格を有することを肯定した。また,(2)不服申立期間の起算日については,国税徴収法39条所定の第二次納税義務者は,第二次納税義務を確定させる納付告知があるまでは,不服申立ての適格があることを確実に認識することはできない反面,納付告知があれば,主たる課税処分の存在及び第二次納税義務が成立していることを確実に認識することになるのであって,少なくともその時点では明確に「処分があったことを知った」ということができることから,国税通則法77条1項所定の「処分があったことを知った日」とは,納付告知(納付通知書の送達)がされた日をいい,不服申立期間の起算日は納付告知がされた日の翌日であると解するのが相当であるとした。