遺産である建物の相続開始後の使用について被相続人と相続人との間に使用貸借契約の成立が推認される場合
土地建物共有物分割等請求事件
【事件番号】 最高裁判所第3小法廷判決/平成5年(オ)第1946号
【判決日付】 平成8年12月17日
【判示事項】 遺産である建物の相続開始後の使用について被相続人と相続人との間に使用貸借契約の成立が推認される場合
【判決要旨】 共同相続人の一人が相続開始前から被相続人の許諾を得て遺産である建物において被相続人と同居してきたときは、特段の事情のない限り、被相続人と右の相続人との間において、相続開始時を始期とし、遺産分割時を終期とする使用貸借契約が成立していたものと推認する。
【参照条文】 民法593
民法898
民法249
民法703
民事訴訟法185
【掲載誌】 最高裁判所民事判例集50巻10号2778頁
民法
(借用物受取り前の貸主による使用貸借の解除)
第五百九十三条の二 貸主は、借主が借用物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。ただし、書面による使用貸借については、この限りでない。
(共同相続の効力)
第八百九十八条 相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。
2 相続財産について共有に関する規定を適用するときは、第九百条から第九百二条までの規定により算定した相続分をもって各相続人の共有持分とする。
第八百九十九条 各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する。
(共有物の使用)
第二百四十九条 各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。
2 共有物を使用する共有者は、別段の合意がある場合を除き、他の共有者に対し、自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負う。
3 共有者は、善良な管理者の注意をもって、共有物の使用をしなければならない。
(不当利得の返還義務)
第七百三条 法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。
民事訴訟法
(自由心証主義)
第二百四十七条 裁判所は、判決をするに当たり、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果をしん酌して、自由な心証により、事実についての主張を真実と認めるべきか否かを判断する。