株式会社の解散請求が認められた事例R4
株式会社解散請求事件
【事件番号】 東京地方裁判所立川支部判決/令和3年(ワ)第2034号
【判決日付】 令和4年9月9日
【判示事項】 株式会社の解散請求が認められた事例
【判決要旨】 (1)原告と被告代表者が、被告の発行済株式総数および議決権数の各半数を有している状態のもと、両者が不和・対立の状況にあり、この膠着状態が容易に解消されることが見込めないなど、多数決原理に基づく重要事項の意思決定が不可能となっていると認められる上、被告において売上高がほとんどなく、主たる資産が減少し、研究中の事業の展開の見通しも不透明であること等に照らし、被告には、会社法833条1項1号の解散事由があるものというべきである。
(2)会社法833条1項1号の解散事由が認められる場合において、意思決定不能の状況を打開する必要性が、法人格を維持できない場合の社会的損失を回避する必要性を上回る場合には、特段の事情がない限り、同項柱書の「やむを得ない事由」があるものと解するのが相当であり、本件においては、意思決定不能の状況を打開する必要性が法人格を維持できない場合の社会的損失を回避する必要性を上回っているものと認めることができ、上記特段の事情を認めるに足りる証拠はないから、同項柱書の「やむを得ない事由」があると認めるのが相当である。
【参照条文】 会社法833-1
【掲載誌】 金融法務事情2200号102頁
会社法
(会社の解散の訴え)
第八百三十三条 次に掲げる場合において、やむを得ない事由があるときは、総株主(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の十分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する株主又は発行済株式(自己株式を除く。)の十分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の数の株式を有する株主は、訴えをもって株式会社の解散を請求することができる。
一 株式会社が業務の執行において著しく困難な状況に至り、当該株式会社に回復することができない損害が生じ、又は生ずるおそれがあるとき。
二 株式会社の財産の管理又は処分が著しく失当で、当該株式会社の存立を危うくするとき。
2 やむを得ない事由がある場合には、持分会社の社員は、訴えをもって持分会社の解散を請求することができる。