原審が被告人質問を実施したが、被告人が黙秘し、他に事実の取調べは行われなかったという事案につき、第1審が無罪とした公訴事実を原審が認定して直ちに自ら有罪の判決をしても、刑訴法400条ただし書に違反しないとされた事例
準強姦被告事件
【事件番号】 最高裁判所第1小法廷決定/令和2年(あ)第343号
【判決日付】 令和3年5月12日
【判示事項】 原審が被告人質問を実施したが、被告人が黙秘し、他に事実の取調べは行われなかったという事案につき、第1審が無罪とした公訴事実を原審が認定して直ちに自ら有罪の判決をしても、刑訴法400条ただし書に違反しないとされた事例
【判決要旨】 準強姦の公訴事実につき,第1審が,被害者が抗拒不能であったことは認めたものの,被告人にその認識があったことには合理的な疑いが残るとして無罪を言い渡し,原審が,被告人において被害者が抗拒不能状態にないと誤信するような事情がなかったかなどについて質問する必要があるとして,職権による被告人質問を実施したが,被告人が黙秘し,原審は他に事実の取調べを行わず事実誤認により第1審判決を破棄したなどの事情(判文参照)の下では,第1審が無罪とした公訴事実を原審が認定して直ちに自ら有罪の判決をしても,刑訴法400条ただし書に違反しない。
【参照条文】 刑事訴訟法400
【掲載誌】 最高裁判所刑事判例集75巻6号583頁
刑法
(準強制わいせつ及び準強制性交等)
第百七十八条 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第百七十六条の例による。
2 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。
刑事訴訟法
第四百条 前二条に規定する理由以外の理由によつて原判決を破棄するときは、判決で、事件を原裁判所に差し戻し、又は原裁判所と同等の他の裁判所に移送しなければならない。但し、控訴裁判所は、訴訟記録並びに原裁判所及び控訴裁判所において取り調べた証拠によつて、直ちに判決をすることができるものと認めるときは、被告事件について更に判決をすることができる。