株券発行会社における株券の交付を伴わない株式の贈与の効力と取締役解任の正当な理由 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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株券発行会社における株券の交付を伴わない株式の贈与の効力と取締役解任の正当な理由

 

 

取締役報酬等請求事件

【事件番号】      東京地方裁判所判決/平成30年(ワ)第33734号

【判決日付】      令和2年9月16日

【判示事項】      1 株券発行会社における株券の交付を伴わない株式の贈与の効力

             2 取締役の解任に正当な理由がないとされた事例

【判決要旨】      1 株券発行会社における株券の交付を伴わない株式の贈与は無効である。

             2 当該事実関係の下では、取締役の解任に正当な理由は認められず、残存任期に対応する取締役としての報酬額に相当する損害を賠償しなければならない。

【参照条文】      会社法128-1

             会社法339-2

【掲載誌】        金融・商事判例1606号48頁

 

 

会社法

(株券発行会社の株式の譲渡)

第百二十八条 株券発行会社の株式の譲渡は、当該株式に係る株券を交付しなければ、その効力を生じない。ただし、自己株式の処分による株式の譲渡については、この限りでない。

2 株券の発行前にした譲渡は、株券発行会社に対し、その効力を生じない。

 

(解任)

第三百三十九条 役員及び会計監査人は、いつでも、株主総会の決議によって解任することができる。

2 前項の規定により解任された者は、その解任について正当な理由がある場合を除き、株式会社に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができる。

 

 

 

       主   文

 

 1 原告の主位的請求を棄却する。

 2 被告は、原告に対し、573万5000円及びこれに対する平成30年12月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

 3 訴訟費用は被告の負担とする。

 4 この判決は、1項を除き、仮に執行することができる。

 

       事実及び理由

 

第1 請求

1 主位的請求

 被告は、原告に対し、573万5000円及びこれに対する平成29年2月1日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。

2 予備的請求

 主文2項に同旨

第2 事案の概要

 本件は、平成28年8月4日に開催された被告の臨時株主総会(以下「本件株主総会」という。)において被告の取締役を解任(以下「本件解任」という。)された原告が、被告に対し、①主位的請求として、本件株主総会については被告の株主である原告に対する招集通知を欠いていたから、同総会における原告を取締役から解任する旨の決議(以下「本件解任決議」という。)は法的に不存在であると主張して、委任契約に基づき、任期満了までの未払報酬等合計573万5000円及びこれに対する平成29年2月1日から支払済みまで年6分の割合による遅延損害金の支払を求め、②予備的請求として、仮に本件解任決議が有効であるとしても、本件解任には「正当な理由」(会社法339条2項)がないと主張して、同項に基づき、残存任期期間中の報酬相当損害金等合計573万5000円及びこれに対する訴状送達の日の翌日(平成30年12月1日)から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求めている事案である。