共同正犯が成立する場合における過剰防衛の成否の判断方法
殺人、出入国管理及び難民認定法違反、外国人登録法違反被告事件
【事件番号】 最高裁判所第2小法廷決定/平成2年(あ)第788号
【判決日付】 平成4年6月5日
【判示事項】 一 共同正犯が成立する場合における過剰防衛の成否の判断方法
二 殺人の共同正犯中の一人に過剰防衛が成立する場合に他の一人について過剰防衛が成立しないとされた事例
【判決要旨】 一 共同正犯が成立する場合における過剰防衛の成否は、共同正犯者の各人につきそれぞれのその要件を満たすかどうかによって判断すべきである。
二 被告人と共謀の上被害者を殺害した甲について過剰防衛が成立する場合であっても、被害者の攻撃を予期し、その機会を利用して甲に反撃を加えさせようとして侵害に臨んだ被告人については、侵害の急迫性の要件を欠き、過剰防衛は成立しない。
【参照条文】 刑法36
刑法60
刑法199
【掲載誌】 最高裁判所刑事判例集46巻4号245頁
刑法
(正当防衛)
第三十六条 急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
2 防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
(共同正犯)
第六十条 二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。
(殺人)
第百九十九条 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。