シルバーハート事件・勤務シフトの削減分についての賃金請求の可否
債務不存在確認請求本訴事件、未払賃金請求反訴事件、未払賃金等請求反訴事件
【事件番号】 東京地方裁判所判決/平成30年(ワ)第8602号、平成30年(ワ)第17876号、平成30年(ワ)第22886号
【判決日付】 令和2年11月25日
【判示事項】 1 民法536条2項に基づく賃金請求の可否をめぐり,本件労働契約において勤務時間につき週3日,1日8時間,週24時間とする合意があったとは認められず,毎月のシフトで勤務日や勤務時間が決定していたことからすれば,適法にシフトが決定されている以上,被告・反訴原告Yは,原告・反訴被告X社に対し,シフトによって決定された勤務時間以外について,X社の責めに帰すべき事由によって就労できなかったとして賃金を請求することはできないとされた例
2 翌月の勤務に関する希望を踏まえて,シフトによって勤務日および勤務日数を決定する方法は,労働者の都合が反映される点で労働者にとっても都合のよい面もあるのであって,シフトによるという合意自体があり得ないものとはいえないとされた例
3 シフト制で勤務する労働者にとって,シフトの大幅な削減は収入の減少に直結するものであり,労働者の不利益が著しいことからすれば,合理的な理由なくシフトを大幅に削減した場合には,シフトの決定権限の濫用に当たり違法となり得ると解され,不合理に削減されたといえる勤務時間に対応する賃金について,民法536条2項に基づき,賃金を請求し得るとされた例
4 Yの平成29年9月および10月の賃金について,シフトの削減がなければ,シフトが削減され始めた同年8月の直近3か月(同年5月分~7月分)の賃金の平均額を得られたであろうと認めるのが相当とされた例
5 Yの所属する事業場は,C2事業所,C3事業所および児童デイサービスの事業所のいずれかであり,本社に所属していたとは認められないことに加え,従業員代表とされるA氏の選出手続きが具体的に明らかではないから,A氏が,Yの所属する事業場の過半数代表者であるとは認められないとして,本件労使協定によって,Yの賃金から給与振込手数料を控除することはできないとされた例
【掲載誌】 労働判例1245号27頁
民法
(債務者の危険負担等)
第五百三十六条 当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる。
2 債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない。この場合において、債務者は、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。