マンションの専用部分の区分所有者の特定承継人が分譲業者と建築当初の取得者間の専有部分の用途制限に係る合意に拘束されないとされた事例
建物専有部分使用目的確認等請求本訴、同反訴事件
【事件番号】 最高裁判所第1小法廷判決/平成4年(オ)第279号
【判決日付】 平成9年3月27日
【判示事項】 マンションの専用部分の区分所有者の特定承継人が分譲業者と建築当初の取得者間の専有部分の用途制限に係る合意に拘束されないとされた事例
【判決要旨】 マンションの分譲業者とその専有部分を建築当初に取得したものが、右専有部分を屋内駐車場として使用し、他の区分所有者の承諾なしに駐車場以外の用途に変更しない旨の合意をした場合に、右専有部分は、屋内駐車場として設計、宣伝され、建築当時においてはその用途を駐車場以外に変更することは建築基準法上許されなかったなどの事情があったとしても、原始規約には右専有部分の用途を駐車場に限定する旨を定めた規定がないなど判示の事実関係の下においては、右専有部分の区分所有権を売買により取得した者は、専有部分の用途制限に係る右合意に拘束されない。
【参照条文】 建物の区分所有等に関する法律30
建物の区分所有等に関する法律46
【掲載誌】 最高裁判所裁判集民事182号607頁
判例タイムズ947号204頁
金融・商事判例1028号15頁
判例時報1610号72頁
建物の区分所有等に関する法律
(規約事項)
第三十条 建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる。
2 一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しないものは、区分所有者全員の規約に定めがある場合を除いて、これを共用すべき区分所有者の規約で定めることができる。
3 前二項に規定する規約は、専有部分若しくは共用部分又は建物の敷地若しくは附属施設(建物の敷地又は附属施設に関する権利を含む。)につき、これらの形状、面積、位置関係、使用目的及び利用状況並びに区分所有者が支払つた対価その他の事情を総合的に考慮して、区分所有者間の利害の衡平が図られるように定めなければならない。
4 第一項及び第二項の場合には、区分所有者以外の者の権利を害することができない。
5 規約は、書面又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)により、これを作成しなければならない。
(規約及び集会の決議の効力)
第四十六条 規約及び集会の決議は、区分所有者の特定承継人に対しても、その効力を生ずる。
2 占有者は、建物又はその敷地若しくは附属施設の使用方法につき、区分所有者が規約又は集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う。