マンションの区分所有者が,業務執行に当たっている管理組合の役員らをひぼう中傷する内容の文書を配布するなどする行為が,建物の区分所有等に関する法律6条1項所定の「区分所有者の共同の利益に反する行為」に当たるとみる余地がある場合
名誉毀損文書頒布行為等停止請求事件
【事件番号】 最高裁判所第3小法廷判決/平成22年(受)第2187号
【判決日付】 平成24年1月17日
【判示事項】 マンションの区分所有者が,業務執行に当たっている管理組合の役員らをひぼう中傷する内容の文書を配布するなどする行為が,建物の区分所有等に関する法律6条1項所定の「区分所有者の共同の利益に反する行為」に当たるとみる余地がある場合
【判決要旨】 マンションの区分所有者が,業務執行に当たっている管理組合の役員らをひぼう中傷する内容の文書を配布し,マンションの防音工事等を受注した業者の業務を妨害するなどする行為は,それが単なる特定の個人に対するひぼう中傷等の域を超えるもので,それにより管理組合の業務の遂行や運営に支障が生ずるなどしてマンションの正常な管理又は使用が阻害される場合には,建物の区分所有等に関する法律6条1項所定の「区分所有者の共同の利益に反する行為」に当たるとみる余地がある。
【参照条文】 建物の区分所有等に関する法律6-1
建物の区分所有等に関する法律57
【掲載誌】 最高裁判所裁判集民事239号621頁
裁判所時報1547号50頁
判例タイムズ1366号99頁
判例時報2142号26頁
建物の区分所有等に関する法律
(区分所有者の権利義務等)
第六条1項 区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。
(共同の利益に反する行為の停止等の請求)
第五十七条 区分所有者が第六条第一項に規定する行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、区分所有者の共同の利益のため、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができる。
2 前項の規定に基づき訴訟を提起するには、集会の決議によらなければならない。
3 管理者又は集会において指定された区分所有者は、集会の決議により、第一項の他の区分所有者の全員のために、前項に規定する訴訟を提起することができる。
4 前三項の規定は、占有者が第六条第三項において準用する同条第一項に規定する行為をした場合及びその行為をするおそれがある場合に準用する。