警察官が別人を逮捕するため同人に対する逮捕状を呈示することなくホテルの居室に立ち入ったところ、被告人の覚醒剤所持が発覚した事案において、その立入りについては、別人が現在する高度の蓋然性を欠き、逮捕状を呈示しなかった違法があるが、その後に発見された覚醒剤やこれに派生する証拠の証拠能力は肯定した事例
覚醒剤取締法違反被告事件
【事件番号】 札幌地方裁判所判決/令和2年(わ)第934号
【判決日付】 令和3年11月4日
【判示事項】 警察官が別人を逮捕するため同人に対する逮捕状を呈示することなくホテルの居室に立ち入ったところ、被告人の覚醒剤所持が発覚した事案において、その立入りについては、別人が現在する高度の蓋然性を欠き、逮捕状を呈示しなかった違法があるが、その後に発見された覚醒剤やこれに派生する証拠の証拠能力は肯定した事例
【参照条文】 覚醒剤取締法19
覚醒剤取締法41の2-1
覚醒剤取締法41の3-1
刑事訴訟法110
刑事訴訟法220-1
刑事訴訟法222-1
刑事訴訟法317
【掲載誌】 LLI/DB 判例秘書登載
覚醒剤取締法
(使用の禁止)
第十九条 次に掲げる場合のほかは、何人も、覚醒剤を使用してはならない。
一 覚醒剤製造業者が製造のため使用する場合
二 覚醒剤施用機関において診療に従事する医師又は覚醒剤研究者が施用する場合
三 覚醒剤研究者が研究のため使用する場合
四 覚醒剤施用機関において診療に従事する医師又は覚醒剤研究者から施用のため交付を受けた者が施用する場合
五 法令に基づいてする行為につき使用する場合
第四十一条の二 覚醒剤を、みだりに、所持し、譲り渡し、又は譲り受けた者(第四十二条第五号に該当する者を除く。)は、十年以下の懲役に処する。
2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、一年以上の有期懲役に処し、又は情状により一年以上の有期懲役及び五百万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。
第四十一条の三 次の各号の一に該当する者は、十年以下の懲役に処する。
一 第十九条(使用の禁止)の規定に違反した者
二 第二十条第二項又は第三項(他人の診療以外の目的でする施用等の制限又は中毒の緩和若しくは治療のための施用等の制限)の規定に違反した者
三 第三十条の六(輸入及び輸出の制限及び禁止)の規定に違反した者
四 第三十条の八(製造の禁止)の規定に違反した者
2 営利の目的で前項の違反行為をした者は、一年以上の有期懲役に処し、又は情状により一年以上の有期懲役及び五百万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。
刑事訴訟法
第百十条 差押状、記録命令付差押状又は捜索状は、処分を受ける者にこれを示さなければならない。
第二百二十条1項 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、第百九十九条の規定により被疑者を逮捕する場合又は現行犯人を逮捕する場合において必要があるときは、左の処分をすることができる。第二百十条の規定により被疑者を逮捕する場合において必要があるときも、同様である。
一 人の住居又は人の看守する邸宅、建造物若しくは船舶内に入り被疑者の捜索をすること。
二 逮捕の現場で差押、捜索又は検証をすること。
第二百二十二条1項 第九十九条第一項、第百条、第百二条から第百五条まで、第百十条から第百十二条まで、第百十四条、第百十五条及び第百十八条から第百二十四条までの規定は、検察官、検察事務官又は司法警察職員が第二百十八条、第二百二十条及び前条の規定によつてする押収又は捜索について、第百十条、第百十一条の二、第百十二条、第百十四条、第百十八条、第百二十九条、第百三十一条及び第百三十七条から第百四十条までの規定は、検察官、検察事務官又は司法警察職員が第二百十八条又は第二百二十条の規定によつてする検証についてこれを準用する。ただし、司法巡査は、第百二十二条から第百二十四条までに規定する処分をすることができない。
第三百十七条 事実の認定は、証拠による。