A名義の不動産につきB,Yが順次相続したことを原因として直接Yに対して所有権移転登記がされている | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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A名義の不動産につきB,Yが順次相続したことを原因として直接Yに対して所有権移転登記がされている場合においてAの共同相続人であるXが上記登記の全部抹消を求めることの可否

 

 

              土地所有権移転登記抹消登記手続請求事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/平成16年(オ)第402号

【判決日付】      平成17年12月15日

【判示事項】      A名義の不動産につきB,Yが順次相続したことを原因として直接Yに対して所有権移転登記がされている場合においてAの共同相続人であるXが上記登記の全部抹消を求めることの可否

【判決要旨】      A名義の不動産につき,AからB,BからYが順次相続したことを原因として直接Yに対して所有権移転登記がされている場合に,Aの相続につき共同相続人Xが存在するときには,Yが上記不動産につき共有持分権を有しているとしても,Xは,Yに対し,上記不動産の共有持分権に基づき,上記登記の全部抹消を求めることができる。

【参照条文】      民法249

             民法898

             不動産登記法66

             不動産登記法68

【掲載誌】        最高裁判所裁判集民事218号1191頁

             裁判所時報1402号30頁

             判例タイムズ1200号122頁

             判例時報1920号35頁

             金融法務事情1773号44頁

 

 

民法

(共有物の使用)

第二百四十九条 各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。

 

(共同相続の効力)

第八百九十八条 相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。

第八百九十九条 各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する。

 

平成30年改正により、899条の2が新設された。

(共同相続における権利の承継の対抗要件)

第八百九十九条の二 相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、次条及び第九百一条の規定により算定した相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない。

2 前項の権利が債権である場合において、次条及び第九百一条の規定により算定した相続分を超えて当該債権を承継した共同相続人が当該債権に係る遺言の内容(遺産の分割により当該債権を承継した場合にあっては、当該債権に係る遺産の分割の内容)を明らかにして債務者にその承継の通知をしたときは、共同相続人の全員が債務者に通知をしたものとみなして、同項の規定を適用する。

 

 

不動産登記法

(権利の変更の登記又は更正の登記)

第六十六条 権利の変更の登記又は更正の登記は、登記上の利害関係を有する第三者(権利の変更の登記又は更正の登記につき利害関係を有する抵当証券の所持人又は裏書人を含む。以下この条において同じ。)の承諾がある場合及び当該第三者がない場合に限り、付記登記によってすることができる。

 

(登記の抹消)

第六十八条 権利に関する登記の抹消は、登記上の利害関係を有する第三者(当該登記の抹消につき利害関係を有する抵当証券の所持人又は裏書人を含む。以下この条において同じ。)がある場合には、当該第三者の承諾があるときに限り、申請することができる。