海上物品運送契約において積荷保険の被保険者である荷主が保険金の支払を受ける限度で運送人に対する損 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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海上物品運送契約において積荷保険の被保険者である荷主が保険金の支払を受ける限度で運送人に対する損害賠償請求権をあらかじめ放棄した場合と保険代位

 

 

損害賠償請求事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷判決/昭和45年(オ)第470号

【判決日付】      昭和49年3月15日

【判示事項】      一、海上物品運送契約において積荷保険の被保険者である荷主が保険金の支払を受ける限度で運送人に対する損害賠償請求権をあらかじめ放棄した場合と保険代位

             二、商法七三八条の堪航能力担保義務の範囲

             三、商法七三八条の堪航能力担保義務の性質

【判決要旨】      一、海上物品運送契約において、積荷保険の被保険者である荷主が保険金の支払を受ける限度で運送人に対する損害賠償請求権をあらかじめ放棄した場合でも、商法739条により運送人の免責が許されない損害に関するかぎり、保険者は、保険代位により、荷主の運送人に対する損害賠償請求権を取得する。

             二、商法738条により担保される堪航能力は、単に船舶自体が安全に航海できることのほか、船舶による運送委託を受けた貨物を通常の海上危険に耐えて安全に目的地にまで運送できる能力を含むものであり、船舶の構造に欠陥があつて通常の海上危険により海水が船艙内に侵入し、そのために貨物が損傷を受けたような場合には、その船舶は堪航能力を欠如していたものというべきである。

             三、船舶所有者は、船舶が堪航能力を有しないことによつて生じた損害については、過失の有無にかかわらず、商法738条に基づく賠償責任を負担すべきものである。

【参照条文】      国際海上物品運送法附則

             商法629

             商法662

             商法739

             商法815

             商法816

               民法519

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集28巻2号222頁

 

 

旧商法738条を結果責任とみると、平成30年改正前商法のもとでは、外航船については国際海上物品運送法により過失責任が、内航船については商法により結果責任が課せられるという不均衡が生じることになる。

 そこで、上記改正により、改正後の商法538条は、過失責任主義がとられるようになった。

 

 

商法

(運送人の責任)

第五百七十五条 運送人は、運送品の受取から引渡しまでの間にその運送品が滅失し若しくは損傷し、若しくはその滅失若しくは損傷の原因が生じ、又は運送品が延着したときは、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。ただし、運送人がその運送品の受取、運送、保管及び引渡しについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。

 

 

(航海に堪える能力に関する注意義務)

第七百三十九条 運送人は、発航の当時次に掲げる事項を欠いたことにより生じた運送品の滅失、損傷又は延着について、損害賠償の責任を負う。ただし、運送人がその当時当該事項について注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。

一 船舶を航海に堪える状態に置くこと。

二 船員の乗組み、船舶の艤装及び需品の補給を適切に行うこと。

三 船倉、冷蔵室その他運送品を積み込む場所を運送品の受入れ、運送及び保存に適する状態に置くこと。

2 前項の規定による運送人の損害賠償の責任を免除し、又は軽減する特約は、無効とする。

(違法な船積品の陸揚げ等)

 

 

第七章 海上保険

(定義等)

第八百十五条 この章において「海上保険契約」とは、損害保険契約のうち、保険者(営業として保険の引受けを行うものに限る。以下この章において同じ。)が航海に関する事故によって生ずることのある損害を塡補することを約するものをいう。

2 海上保険契約については、この章に別段の定めがある場合を除き、保険法(平成二十年法律第五十六号)第二章第一節から第四節まで及び第六節並びに第五章の規定を適用する。

(保険者の塡補責任)

第八百十六条 保険者は、この章又は海上保険契約に別段の定めがある場合を除き、保険の目的について、保険期間内に発生した航海に関する事故によって生じた一切の損害を塡補する責任を負う。

 

 

 

保険法(平成二十年法律第五十六号)

(請求権代位)

第二十五条 保険者は、保険給付を行ったときは、次に掲げる額のうちいずれか少ない額を限度として、保険事故による損害が生じたことにより被保険者が取得する債権(債務の不履行その他の理由により債権について生ずることのある損害をてん補する損害保険契約においては、当該債権を含む。以下この条において「被保険者債権」という。)について当然に被保険者に代位する。

一 当該保険者が行った保険給付の額

二 被保険者債権の額(前号に掲げる額がてん補損害額に不足するときは、被保険者債権の額から当該不足額を控除した残額)

2 前項の場合において、同項第一号に掲げる額がてん補損害額に不足するときは、被保険者は、被保険者債権のうち保険者が同項の規定により代位した部分を除いた部分について、当該代位に係る保険者の債権に先立って弁済を受ける権利を有する。