権利能力のない社団であるXが建物の共有持分権を有することの確認を求める旨を訴状に記載して提起した | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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権利能力のない社団であるXが建物の共有持分権を有することの確認を求める旨を訴状に記載して提起した訴訟において,控訴審が,Xの請求につき,上記共有持分権がXの構成員全員に総有的に帰属することの確認を求める趣旨に出るものであるか否かについて釈明権を行使することなくこれを棄却したことに違法があるとされた事例

 

 

              共有持分権確認請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/令和3年(受)第919号

【判決日付】      令和4年4月12日

【判示事項】      権利能力のない社団であるXが建物の共有持分権を有することの確認を求める旨を訴状に記載して提起した訴訟において,控訴審が,Xの請求につき,上記共有持分権がXの構成員全員に総有的に帰属することの確認を求める趣旨に出るものであるか否かについて釈明権を行使することなくこれを棄却したことに違法があるとされた事例

【判決要旨】      権利能力のない社団であるXがYに対して建物の共有持分権を有することの確認を求める旨を訴状に記載して提起した訴訟において,当事者双方は専らX及びYを含む3町内会の間で上記建物をその3町内会の共有とする旨の合意がされたか否かに関して主張し,Xが所有権等の主体となり得るか否かが問題とされることはなかったなど判示の事情の下においては,控訴審が,Xに対し,Xの請求につき,上記共有持分権がXの構成員全員に総有的に帰属することの確認を求める趣旨に出るものであるか否かについて釈明権を行使することなく,上記共有持分権がX自体に帰属することの確認を求めるものであるとしてこれを棄却したことには,違法がある。

【参照条文】      民事訴訟法149

             民法33

【掲載誌】        判例タイムズ1499号71頁

             LLI/DB 判例秘書登載

 

 

民法

(法人の成立等)

第三十三条 法人は、この法律その他の法律の規定によらなければ、成立しない。

2 学術、技芸、慈善、祭祀し、宗教その他の公益を目的とする法人、営利事業を営むことを目的とする法人その他の法人の設立、組織、運営及び管理については、この法律その他の法律の定めるところによる。

 

 

民事訴訟法

(釈明権等)

第百四十九条 裁判長は、口頭弁論の期日又は期日外において、訴訟関係を明瞭にするため、事実上及び法律上の事項に関し、当事者に対して問いを発し、又は立証を促すことができる。

2 陪席裁判官は、裁判長に告げて、前項に規定する処置をすることができる。

3 当事者は、口頭弁論の期日又は期日外において、裁判長に対して必要な発問を求めることができる。

4 裁判長又は陪席裁判官が、口頭弁論の期日外において、攻撃又は防御の方法に重要な変更を生じ得る事項について第一項又は第二項の規定による処置をしたときは、その内容を相手方に通知しなければならない。

 

(法人でない社団等の当事者能力)

第二十九条 法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において訴え、又は訴えられることができる。