譲渡担保権者と譲渡担保設定者が別個に損害保険契約を締結し保険金額の合計額が保険価額を超過している場合と各保険者の負担額の決定方法
保険金支払請求事件
【事件番号】 最高裁判所第2小法廷判決/平成元年(オ)第1351号
【判決日付】 平成5年2月26日
【判示事項】 一 譲渡担保権者及び譲渡担保設定者と目的不動産についての被保険利益
二 譲渡担保権者と譲渡担保設定者が別個に損害保険契約を締結し保険金額の合計額が保険価額を超過している場合と各保険者の負担額の決定方法
【判決要旨】 一 譲渡担保権者及び譲渡担保設定者は、いずれも譲渡担保の目的不動産について被保険利益を有する。
二 譲渡担保権者と譲渡担保設定者が別個に譲渡担保の目的不動産について損害保険契約を締結し、その保険金額の合計額が保険価額を超過している場合には、特段の約定のない限り、商法六三二条の趣旨にかんがみ、各損害保険契約の保険金額の割合によって各保険者の負担額を決定すべきである。
【参照条文】 民法369
商法632
商法633
【掲載誌】 最高裁判所民事判例集47巻2号1653頁
民法
第十章 抵当権
第一節 総則
(抵当権の内容)
第三百六十九条 抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
2 地上権及び永小作権も、抵当権の目的とすることができる。この場合においては、この章の規定を準用する。
平成二十年法律第五十六号
保険法
(請求権代位)
第二十五条 保険者は、保険給付を行ったときは、次に掲げる額のうちいずれか少ない額を限度として、保険事故による損害が生じたことにより被保険者が取得する債権(債務の不履行その他の理由により債権について生ずることのある損害をてん補する損害保険契約においては、当該債権を含む。以下この条において「被保険者債権」という。)について当然に被保険者に代位する。
一 当該保険者が行った保険給付の額
二 被保険者債権の額(前号に掲げる額がてん補損害額に不足するときは、被保険者債権の額から当該不足額を控除した残額)
2 前項の場合において、同項第一号に掲げる額がてん補損害額に不足するときは、被保険者は、被保険者債権のうち保険者が同項の規定により代位した部分を除いた部分について、当該代位に係る保険者の債権に先立って弁済を受ける権利を有する。
(強行規定)
第二十六条 第十五条、第二十一条第一項若しくは第三項又は前二条の規定に反する特約で被保険者に不利なものは、無効とする。