大阪府国民健康保険審査決定取消請求事件 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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大阪府国民健康保険審査決定取消請求事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/昭和46年(行ツ)第106号

【判決日付】      昭和49年5月30日

【判示事項】      国民健康保険の保険者の処分を取り消した国民健康保険審査会の裁決の取消訴訟と保険者の原告適格

【判決要旨】      国民健康保険の保険者は、自己のした保険給付に関する処分(被保険者証の交付の請求に関する処分を含む。)又は保険料その他の徴収金に関する処分を取り消した国民健康保険審査会の裁決に対し、取消訴訟を提起することはできない。

【参照条文】      国民健康保険法3

             国民健康保険法91

             国民健康保険法103

             行政事件訴訟法9

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集28巻4号594頁

 

 

昭和三十七年法律第百三十九号

行政事件訴訟法

 

第一章 総則(第一条―第七条)

第二章 抗告訴訟

第一節 取消訴訟(第八条―第三十五条)

(原告適格)

第九条 処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴え(以下「取消訴訟」という。)は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者(処分又は裁決の効果が期間の経過その他の理由によりなくなつた後においてもなお処分又は裁決の取消しによつて回復すべき法律上の利益を有する者を含む。)に限り、提起することができる。

2 裁判所は、処分又は裁決の相手方以外の者について前項に規定する法律上の利益の有無を判断するに当たつては、当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮するものとする。この場合において、当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たつては、当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌するものとし、当該利益の内容及び性質を考慮するに当たつては、当該処分又は裁決がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案するものとする。

 

 

昭和三十三年法律第百九十二号

国民健康保険法

 

第一章 総則

(この法律の目的)

第一条 この法律は、国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もつて社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする。

(国民健康保険)

第二条 国民健康保険は、被保険者の疾病、負傷、出産又は死亡に関して必要な保険給付を行うものとする。

(保険者)

第三条 都道府県は、当該都道府県内の市町村(特別区を含む。以下同じ。)とともに、この法律の定めるところにより、国民健康保険を行うものとする。

2 国民健康保険組合は、この法律の定めるところにより、国民健康保険を行うことができる。

 

第九章 審査請求

(審査請求)

第九十一条 保険給付に関する処分(被保険者証の交付の請求又は返還に関する処分を含む。)又は保険料その他この法律の規定による徴収金に関する処分に不服がある者は、国民健康保険審査会に審査請求をすることができる。

2 前項の審査請求は、時効の完成猶予及び更新に関しては、裁判上の請求とみなす。

 

(審理のための処分)

第百一条 審査会は、審理を行うため必要があると認めるときは、審査請求人若しくは関係人に対して報告若しくは意見を求め、その出頭を命じて審問し、又は医師若しくは歯科医師に診断若しくは検案をさせることができる。

2 都道府県は、前項の規定により審査会に出頭した関係人又は診断若しくは検案をした医師若しくは歯科医師に対し、政令の定めるところにより、旅費、日当及び宿泊料又は報酬を支給しなければならない。