1、特別事情による仮処分取消の場合における債権者側の事情と債務者側の事情との関係2、仮処分の被保 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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1、特別事情による仮処分取消の場合における債権者側の事情と債務者側の事情との関係2、仮処分の被保全権利が金銭的補償により終局の目的を達し得る場合の一事例

 

 

 

仮処分命令取消請求事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷判決/昭和25年(オ)第121号

【判決日付】      昭和27年4月4日

【判示事項】      1、特別事情による仮処分取消の場合における債権者側の事情と債務者側の事情との関係

             2、仮処分の被保全権利が金銭的補償により終局の目的を達し得る場合の一事例

【判決要旨】      1、仮処分により保全される債権者の権利が金銭的補償を得ることによりその終局の目的を達し得る事情と、債務者が仮処分により普通に受ける損害よりも多大の損害を被るべき事情とは、それぞれ独立して別個に特別事情となるものであるから、特別事情による仮処分取消申立事件において、裁判所が後者の事情を顧慮せずに前者の事情だけで仮処分を取り消しても、違法ではない。

             2、土地(池沼)の賃借人(債務者)に対する埋立工事禁止の仮処分により保全される所有者(債権者)の権利は、たとえ仮処分の取消により賃借人が埋立工事を続けてこれを畑地としても、またそのため右土地が自作農創設特別措置法の適用を受け強制買収されることとなつても、金銭的補償を得ることによりその終局の目的を達し得るものである。

【参照条文】      民事訴訟法759

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集6巻4号404頁

 

 

民事保全法

第四節 保全取消し

(特別の事情による保全取消し)

第三十九条 仮処分命令により償うことができない損害を生ずるおそれがあるときその他の特別の事情があるときは、仮処分命令を発した裁判所又は本案の裁判所は、債務者の申立てにより、担保を立てることを条件として仮処分命令を取り消すことができる。

2 前項の特別の事情は、疎明しなければならない。

3 第十六条本文及び第十七条の規定は、第一項の申立てについての決定について準用する。