越権代理人が本人の実印を使用して約束手形を振り出した場合について民法第110条にいう「権限アリト信スヘキ正当ノ理由」がないとされた事例
約束手形金請求事件
【事件番号】 最高裁判所第2小法廷判決/昭和39年(オ)第419号
【判決日付】 昭和39年12月11日
【判示事項】 越権代理人が本人の実印を使用して約束手形を振り出した場合について民法第110条にいう「権限アリト信スヘキ正当ノ理由」がないとされた事例
【判決要旨】 甲がその実父である乙の実印を使用し、権限をこえ、乙の代理人として丙にあてて約束手形を振り出した場合でも、甲は乙に無断で右実印を持ち出したものであり、乙と丙とは従前取引をしたことがない等当該振出に関し原審が確定したような事情があるときは、丙が、乙に甲の権限にについて確めることなく、甲は右約束手形を振り出す権限を有すると信じたことには、過失があるというべきである。
【参照条文】 民法110
【掲載誌】 最高裁判所民事判例集18巻10号2160頁
民法
(代理権授与の表示による表見代理等)
第百九条 第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。ただし、第三者が、その他人が代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。
2 第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間で行為をしたとすれば前項の規定によりその責任を負うべき場合において、その他人が第三者との間でその代理権の範囲外の行為をしたときは、第三者がその行為についてその他人の代理権があると信ずべき正当な理由があるときに限り、その行為についての責任を負う。
(権限外の行為の表見代理)
第百十条 前条第一項本文の規定は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する。