宅配便の荷受人が運送会社に対して運送中の荷物の紛失を理由として運送契約上の責任限度額を超える損害の賠償を請求することが信義則に反し許されないとされた事例
損害賠償請求、同附帯請求事件
【事件番号】 最高裁判所第1小法廷判決/平成6年(オ)第799号
【判決日付】 平成10年4月30日
【判示事項】 宅配便の荷受人が運送会社に対して運送中の荷物の紛失を理由として運送契約上の責任限度額を超える損害の賠償を請求することが信義則に反し許されないとされた事例
【判決要旨】 荷受人甲が、宅配便を利用して宝石類を送付することができないことを知りながら、荷送人乙が運送会社丙の宅配便を利用してダイヤモンド等を送付することを容認していたなど判示の事実関係の下においては、運送中の右ダイヤモンド等の紛失を理由として甲が丙に対し乙丙間の運送契約上の責任限度額30万円を超える損害の賠償を請求することは、信義則に反し、許されない。
【参照条文】 民法1-2
民法91
民法709
商法577
商法578
商法580
商法583
【掲載誌】 最高裁判所裁判集民事188号385頁
裁判所時報1218号116頁
判例タイムズ980号101頁
商法
(運送人の責任)
第五百七十五条 運送人は、運送品の受取から引渡しまでの間にその運送品が滅失し若しくは損傷し、若しくはその滅失若しくは損傷の原因が生じ、又は運送品が延着したときは、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。ただし、運送人がその運送品の受取、運送、保管及び引渡しについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。
(損害賠償の額)
第五百七十六条 運送品の滅失又は損傷の場合における損害賠償の額は、その引渡しがされるべき地及び時における運送品の市場価格(取引所の相場がある物品については、その相場)によって定める。ただし、市場価格がないときは、その地及び時における同種類で同一の品質の物品の正常な価格によって定める。
2 運送品の滅失又は損傷のために支払うことを要しなくなった運送賃その他の費用は、前項の損害賠償の額から控除する。
3 前二項の規定は、運送人の故意又は重大な過失によって運送品の滅失又は損傷が生じたときは、適用しない。
(高価品の特則)
第五百七十七条 貨幣、有価証券その他の高価品については、荷送人が運送を委託するに当たりその種類及び価額を通知した場合を除き、運送人は、その滅失、損傷又は延着について損害賠償の責任を負わない。
2 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
一 物品運送契約の締結の当時、運送品が高価品であることを運送人が知っていたとき。
二 運送人の故意又は重大な過失によって高価品の滅失、損傷又は延着が生じたとき。
(複合運送人の責任)
第五百七十八条 陸上運送、海上運送又は航空運送のうち二以上の運送を一の契約で引き受けた場合における運送品の滅失等(運送品の滅失、損傷又は延着をいう。以下この節において同じ。)についての運送人の損害賠償の責任は、それぞれの運送においてその運送品の滅失等の原因が生じた場合に当該運送ごとに適用されることとなる我が国の法令又は我が国が締結した条約の規定に従う。
2 前項の規定は、陸上運送であってその区間ごとに異なる二以上の法令が適用されるものを一の契約で引き受けた場合について準用する。