取締役に会社の業務執行一切を委せきりにしていた代表取締役について商法266条ノ3の責任を肯定した事例
東京高等裁判所判決/昭和51年(ネ)第2057号、昭和51年(ネ)第2067号
昭和53年5月29日
損害賠償請求控訴事件
【判示事項】 取締役に会社の業務執行一切を委せきりにしていた代表取締役について商法266条ノ3の責任を肯定した事例
【参照条文】 商法266の3
【掲載誌】 下級裁判所民事裁判例集32巻5~8号542頁
判例タイムズ368号343頁
【評釈論文】 判例タイムズ371号36頁
判例タイムズ390号204頁
法律のひろば34巻4号76頁
【解説】
本件は、株式会社Aの取締役Y1(控訴人)が支払の見込がないのに仕入代金や借金の支払のため約束手形を振出しあるいは為替手形に支払引受をしたところ、Aは倒産して右約束手形、為替手形の所持人であるX1、X2(被控訴人・控訴人)に損害を与えたとして、X1、X2がY1については任務懈怠、Y1に業務執行一切を委せて顧みなかつたAの代表取締役Y2(被控訴人)については監視義務違反を理由に商法266条ノ3の損害賠償責任を問うた事案であり、1審はY1についてのみ責任を認めたのに対し、2審の本判決はY1、Y2両名につき責任を肯定した。