所持品検査を拒否した従業員に対する懲戒解雇を無効とした例
横浜地方裁判所川崎支部判決/昭和43年(ワ)第368号
昭和50年3月3日
雇傭関係存続確認等請求事件
帝国通信工業事件
【判示事項】 所持品検査を拒否した従業員に対する懲戒解雇を無効とした例
【掲載誌】 労働関係民事裁判例集26巻2号107頁
労働判例223号47頁
【評釈論文】 労働基準27巻8号30頁
労働判例226号39頁
【解説】
本件は、退門時に守衛によって行なわれた所持品検査を拒否した従業員に対する懲戒解雇を無効とした事例である。判決は、本件所持品検査を適法としながら、懲戒解雇は苛酷に過ぎ権利の濫用であるとしている。
いわゆる所持品検査についてはその性質上従業員のプライバシーを不当に侵害する危険性を内包するから、それが適法であるためには検査を行なう明文の根拠とその合理的必要性が存在し、かつ社会通念上妥当として是認できるような方法と程度において、従業員一般に画一的に実施されねばならない、という一般原則を定めた最高裁判例が存している(西日本鉄道事件・最二小判昭43・8・2)。
本判決は、本件所持品検査の適法性については、右の最高裁判渕の一般基準をひとつひとつ検討したうえで、「本件所持品検査は就業規則、特殊勤務規定、服務規律等の明文の根拠に基づいて、権限を与えられた守衛によって行われ、かつその実施につき企業の機密漏洩を未然に防止するとの具体的必要性があったものと認められる。そしてその具体的必要性が生じたとき以降、退門しようとする従業員に対し画一的に実施され、これを行う根拠については守衛から一応の説明があり、その方法もことさら従業員に屈辱感を与えるものではなく、妥当な方法と程度において行われたものと認めるのが相当である」。したがって「従業員はこれを受忍する義務がある」としている。