大学受験用ビデオ教材を製作販売する会社がこれを利用する受験指導契約について名板貸責任を負わないとされた事例
広島地方裁判所判決/平成5年(ワ)第1672号
平成8年5月29日
損害賠償等請求事件
【判示事項】 1 大学受験用ビデオ教材を製作販売する会社がこれを利用する受験指導契約について名板貸責任を負わないとされた事例
2 受験指導契約の債務不履行について信販会社が損害賠償責任を負わないとされた事例
【判決要旨】 1 受験指導契約のための教材を提供した会社は、受験指導契約の主体であるかのような外観が存在したとしてもその外観の存在を許諾しあるいは黙認していたと認められる事実がなければ、受験指導業者の受験指導契約不履行による損害賠償として契約代金返還等の義務を負うことはない。
2 代金を立替払いした信販会社は、割賦販売法30条の4を根拠として受験指導業者の受験指導契約の不履行による損害賠償として契約代金返還等の義務を負うことはないし、受験指導契約と立替払契約が実体的・手続的にみて1体をなすものであると認めることは困難であり、信義則上も右義務を負うことはない。
【参照条文】 商法23
民法1
民法415
割賦販売法30の4
【掲載誌】 判例タイムズ928号248頁
金融法務事情1459号41頁
【解説】
Xら30名は、平成3年3月から同4年4月にかけて受験指導を業とするA社との間でY1が製作販売した大学受験用ビデオ教材を用いた受験指導契約を締結し、その代金60万円ないし139万円余を支払ったが、その内1名を除いては、信販会社Y2に代金の立替払を依頼した。
A社は、同年10月ころ事実上倒産し、その事業を引き継いだB社も同5年2月に事実上倒産した。
Xらは、Y1及びY2に対し、債務不履行に基づく損害賠償請求の訴えを提起した。
その理由は、Y1は、Aらに対し受験指導契約の締結を委任ないし委託したこと、仮にそうでないとしても、Y1は商法23条又は民法109条の趣旨により責任を負うこと、Y2は、割賦販売法30条の4の趣旨又は信義則に基づき、損害賠償責任を負うこととするものである。
本判決は、Xらの請求を全部棄却した。
その理由は、Y1がAに受験指導契約の締結を委任ないし委託したとは認められないこと、Aの発行したパンフレットから受験指導契約の主体がY1であるような外観が存在していたが、Y1においてこれを許諾し、あるいは黙認していたと認めるのは困難であること、Y2については、割賦販売法30条の4は、支払拒絶権を定めたものであり、同条に基づき、既払金の返還を求めることはできないこと、受験指導契約と立替払契約とが実体的・手続的に見て1体をなすものであると認めることは困難であり、信義則が働く余地がある事実関係を認めることはできないなどというものである。
名板貸人の責任は、商号等の使用許諾が前提であり(商法23条)、本判決は、その事実を否定したものであるが、Y1の本件についての対応等を見ると、事実関係は微妙なものがあるといえよう。