ゴルフ場経営会社につき再生手続開始の申立てと更生手続開始の申立てが競合した場合において、再生手続 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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ゴルフ場経営会社につき再生手続開始の申立てと更生手続開始の申立てが競合した場合において、再生手続によることが債権者の一般の利益に適合するとし、更生手続開始の申立てを棄却することが相当とされた事例

 

大阪高等裁判所決定/平成18年(ラ)第278号

平成18年4月26日

更生手続開始申立棄却決定に対する抗告事件

【判示事項】    ゴルフ場経営会社につき再生手続開始の申立てと更生手続開始の申立てが競合した場合において、再生手続によることが債権者の一般の利益に適合するとし、更生手続開始の申立てを棄却することが相当とされた事例

【判決要旨】    再生手続が進行している株式会社につき更生手続開始の申立てがあった場合、更生手続を優先するのが原則であるが、例外として、再生手続によることが債権者の一般の利益に適合する場合には、更生手続開始申立てを棄却することとされているところ、更生手続と再生手続のいずれが債権者の一般の利益に適合するかは、両制度の相違、手続の進捗状況等を踏まえた上で、債権者に対する弁済の時期、額、事業継続による債権者の利益の有無、資本構成の変化等による債権者の企業経営参加の要否と可能性等を総合的に判断する必要があり、株式会社の再建の観点から両制度を見ると、一般的には、経営者の交代、株式の減資等の組織変更、担保権の行使の制約の必要性、優先債権の権利変更の必要性がある場合には、更生手続によることが望ましいものの、本件の事情のもとにおいては、ゴルフ場経営会社と関連会社は同一の手続や手法によって再建を図ることが望ましいこと、債権者の意向、経営者の責任、担保権者との関係、優先債権の不存在等の事情から更生手続を選択しなければならない必要性はなく、一般債権者の大半が預託金返還請求権を有するゴルフ会員債権者であり、更生手続を求めていないこと、ゴルフ場施設利用権に配慮した再生計画が認可されていること、再生計画による弁済率、再生手続が相当程度進んでいること等の事情から更生手続を採用することにより、再生手続より有利な条件が得られるとは言えないから、更生手続より再生手続による方が債権者の一般の利益に適合すると解するのが相当である。

【参照条文】    会社更生法41

【掲載誌】     金融・商事判例1244号18頁

          金融法務事情1789号24頁