美容サービス提供等を業とする被告Y社に勤務し,訴外米国A社の技術を用いた美容施術を行う事業に従事 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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美容サービス提供等を業とする被告Y社に勤務し,訴外米国A社の技術を用いた美容施術を行う事業に従事していた原告X1およびX2に対し,Y社が懲戒解雇処分(相当)であるとして退職金を支給しないとした件につき,同人らの(ア)競業会社R社の設立・取締役就任,(イ)R社店舗の開業準備行為,(ウ)A社技術にかかる秘密保持義務違反がいずれもY社就業規則の懲戒解雇事由に該当し,また(ア),(イ)が雇用契約に関する誠実義務等に反するとされ,他方,エY社従業員の引抜きについては違法とは認められないとされた例

 

大阪地方裁判所判決/平成18年(ワ)第12146号

平成21年3月30日

退職金請求事件

【判示事項】    1 美容サービス提供等を業とする被告Y社に勤務し,訴外米国A社の技術を用いた美容施術を行う事業に従事していた原告X1およびX2に対し,Y社が懲戒解雇処分(相当)であるとして退職金を支給しないとした件につき,同人らの(ア)競業会社R社の設立・取締役就任,(イ)R社店舗の開業準備行為,(ウ)A社技術にかかる秘密保持義務違反がいずれもY社就業規則の懲戒解雇事由に該当し,また(ア),(イ)が雇用契約に関する誠実義務等に反するとされ,他方,エY社従業員の引抜きについては違法とは認められないとされた例

2 上記(イ)の開業準備行為につき,退職前の有給休暇期間中に退職後の仕事に関する就職活動等をすることが一概に禁止されるとはいえないが,当該期間中であっても,Y社に在職している以上,雇用契約に関する誠実義務に違反する行為をすることは許されないとされた例

3 退職金の支給要件を満たす労働者がすでに退職した場合,使用者は当該労働者を懲戒解雇することはできず,したがって懲戒解雇に伴う退職金不支給・減額が就業規則に定められている場合であっても,その定めをもって直ちに退職金を不支給等とすることはできないと解されるが,当該労働者において,それまでの勤続の功を抹消または減殺する程度にまで著しく信義に反する行為があったと認められるときは,使用者は,当該労働者による退職金請求の全部または一部が権利の濫用に当たるとして,当該労働者に対する退職金を不支給または減額にすることができる場合があるとされた例

4 X1はY社の賞罰委員会開催時にはすでに退職しており,このため懲戒解雇処分相当とされたものであるが,X1の本件各行為は,同人のY社における勤続の功を抹消する程度にまで著しく信義に反するものであったと認められ,X1の退職金請求はその全額において権利濫用に当たり認められないとされた例

5 X2に対する懲戒解雇が解雇権の濫用に当たらず有効であるとされ,X2の本件各行為は勤続の功を抹消する程度にまで著しく信義に反するものであって,退職金の不支給事由が認められるから,Y社に退職金の支払いを求める権利を有しないとされた例

6 上記4,5に加え,本件退職金不支給について,その効力を左右するような手続き上の瑕疵があったとは認められないとされ,Xらの退職金請求がいずれも棄却された例

【掲載誌】     労働判例987号60頁

          労働経済判例速報2043号7頁