民間会社が自社製品の開発研究に関し専門家である国立大学教授と個人契約を結び技術指導を受けて技術指導料を支払うのと並行して、当該開発研究に関連する実験が大学と同社の共同研究として実施されたが、同研究期間中の技術指導は同実験の計画策定や準備・実行等が主であったという場合において、贈賄罪に問われた事案
大阪高等裁判所判決/平成30年(う)第1000号
令和2年6月17日
贈賄被告事件
【判示事項】 大阪大学における産学連携の開発研究に関する企業から教授への金銭供与について、贈賄側会社の常務取締役と営業部長である被告人両名が控訴審で逆転無罪となった事案である。
民間会社が自社製品の開発研究に関し専門家である国立大学教授と個人契約を結び技術指導を受けて技術指導料を支払うのと並行して、当該開発研究に関連する実験が大学と同社の共同研究として実施されたが、同研究期間中の技術指導は同実験の計画策定や準備・実行等が主であったという事実関係において、同教授が公務として学生らに指導する実験により前記企業も有益なデータを得ていたことなどから、前記技術指導料は教授の公務である実験の指導に対する対価を含むとしてその技術指導料の支払に賄賂性を認め、会社において技術指導料の支払を決裁するなどした被告人らに贈賄罪の成立を認めた第1審判決について、控訴審において、教授の実験に関する指導には、学生らに対する公務としての指導と個人契約に基づく私的な指導とが併存していたとして、技術指導料と公務との対価関係に疑問を提起するとともに、仮に対価性があるとしても、研究職公務員の職務の特殊性からすれば、実体のある職務外活動に供与された金員についてそうした対価関係のみで賄賂と認めるのは相当でなく、賄賂であることを認定するには報酬の不正さを基礎付ける事情が対価性とは別に認められることが必要であるとし、本件ではそうした事情がないとして賄賂性を否定し、第1審判決が破棄されて被告人らに無罪が言い渡された事例
【参照条文】 刑法198
刑事訴訟法382
刑事訴訟法400ただし書
【掲載誌】 LLI/DB 判例秘書登載
【評釈論文】 刑事法ジャーナル67号146頁