大学院修士課程に在籍していた中国人留学生の被控訴人(附帯控訴人)が,控訴人(附帯被控訴人)である | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属21770

大学院修士課程に在籍していた中国人留学生の被控訴人(附帯控訴人)が,控訴人(附帯被控訴人)である研究指導教員から休学を強要されるなどのアカデミック・ハラスメントを受けたと主張し,同教員に対し損害賠償を求めた訴訟において,公共団体である国立大学法人に講師として雇用されて学生に対する教育活動をゆだねられた職員は国家賠償法1条1項の「公務員」に該当し,国立大学法人が被害者に対し損害賠償責任を負っている以上,職員個人が重ねて民事上の損害賠償責任を負うことはないとした事案

 

名古屋高等裁判所判決/平成22年(ネ)第94号、平成22年(ネ)第473号

平成22年11月4日

損害賠償請求控訴,同附帯控訴事件

【判示事項】    大学院修士課程に在籍していた中国人留学生の被控訴人(附帯控訴人)が,控訴人(附帯被控訴人)である研究指導教員から休学を強要されるなどのアカデミック・ハラスメントを受けたと主張し,同教員に対し損害賠償を求めた訴訟において,公共団体である国立大学法人に講師として雇用されて学生に対する教育活動をゆだねられた職員は国家賠償法1条1項の「公務員」に該当し,国立大学法人が被害者に対し損害賠償責任を負っている以上,職員個人が重ねて民事上の損害賠償責任を負うことはないとした事案

【掲載誌】     LLI/DB 判例秘書登載

       主   文

 1 本件控訴に基づき,原判決中控訴人敗訴部分を取り消す。

 2 被控訴人の請求を棄却する。

 3 本件附帯控訴を棄却する。

 4 訴訟費用のうち当審において生じた部分及び原審において控訴人と被控訴人との間に生じた部分は被控訴人の負担とする。

       事実及び理由

第1 当事者の求めた裁判

 1 控訴人

  主文同旨

 2 被控訴人

  ・ 本件控訴を棄却する。

  ・ 原判決中控訴人に関する部分を次のとおり変更する。

    控訴人は,被控訴人に対し,330万円及びこれに対する平成18年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

  ・ 訴訟費用は第1,2審とも控訴人の負担とする。

第2 事案の概要

 1 本件は,被控訴人が,国立A大学大学院修士課程に在籍中,研究指導教員であった控訴人から休学を強要されるなどのアカデミックハラスメントを受けたとして,控訴人に対し,不法行為に基づく損害賠償請求として928万0250円及びこれに対する不法行為の後である平成18年4月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。

   原審が,被控訴人の請求を一部認容し,その余を棄却したところ,控訴人が控訴するとともに,被控訴人が前記のとおり不服申立の範囲を限定して附帯控訴した。

   なお,被控訴人は,原審において,国立大学法人A大学に対し,民法715条,国家賠償法1条1項,在学契約に基づく債務不履行又は民法709条に基づく損害賠償請求を行い,原審で債務不履行に基づく損害賠償請求が一部認容され,その余の請求が棄却されたが,被控訴人及び国立大学法人A大学のいずれからも控訴がなく,両者間で原判決は確定した。