再生債権者がいわゆる「巻き戻し」の結果としてその後に取り消された再生債務者の担保不動産競売手続に | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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再生債権者がいわゆる「巻き戻し」の結果としてその後に取り消された再生債務者の担保不動産競売手続において支出していた費用の償還を求める債権は「共益債権」に該当するか(消極)

 

大阪高等裁判所判決/平成25年(ネ)第508号

平成25年6月19日

共益債権請求控訴事件

【判示事項】    1 再生債権者がいわゆる「巻き戻し」の結果としてその後に取り消された再生債務者の担保不動産競売手続において支出していた費用の償還を求める債権は「共益債権」に該当するか(消極)

2 共益債権に該当すると主張して再生手続以外の訴訟手続で現在の支払いを求める債権が再生債権に該当すると認めた場合に当該訴訟において当該債権の将来の支払いを命ずることができるか(積極)

【判決要旨】    1 再生債権者がいわゆる「巻き戻し」の結果としてその後に取り消された再生債務者の担保不動産競売手続において支出していた費用につき、再生債務者に対し、その償還を求め得る場合であるとしても、当該債権は、民事再生法119条所定の「共益債権」に該当しない。

2 共益債権に該当すると主張して再生手続以外の訴訟手続で現在の支払いを求める債権が再生債権に該当すると認めた場合にも、既に確定している再生計画で定められた一般的基準により権利が変更された限度で、かつ、再生債権の届出がない以上、同計画の再生債権に対する最終の支払期限の翌日に支払いを求める請求として、当該訴訟手続において、その将来の支払いを命ずることができる。

【参照条文】    民事再生法84

          民事再生法119

          民法91

          民法650

          民事再生法85

          民事再生法122

          民事訴訟法135

【掲載誌】     金融・商事判例1427号22頁