非公認市場における金地金の先物取引の委託が公序良俗に反し無効とされた事例 最高裁判所第1小法廷 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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非公認市場における金地金の先物取引の委託が公序良俗に反し無効とされた事例

 

最高裁判所第1小法廷判決/昭和59年(オ)第12号

昭和61年5月29日

貸付信託通帳引渡請求本訴、同反訴、慰藉料請求事件

【判示事項】    非公認市場における金地金の先物取引の委託が公序良俗に反し無効とされた事例

【判決要旨】    顧客の委託を受けて非公認市場で将来の一定の時期に商品の授受および代金決済を行う予約取引の方法で金地金の売買を営む会社の社員らが、商品取引の知識のない主婦に対して、引続き3時間にも及ぶ勧誘を続け、その間右取引が投機性を有し、損失を被る虞のあること、委託追証拠金等を必要とすることがあり、これを納めないときには多額の損害を被ることなどについて説明せず、かえって損失の虞のない安全かつ有利な取引であることを強調し、さらに、主婦が現金のないことを理由に逡巡するのに、貸付信託通帳でも支障がないなどと述べて執拗に取引を勧め、その結果、主婦が右社員らの言うに委せれば利益を生ずることが確実であると考えて取引をするに至ったなど原判示の事実関係のもとにおいては、主婦と会社との間に成立した本件取引が、著しく不公正な方法によって行われたものとして公序良俗に反し無効である。

【参照条文】    民法90

          民法643

          商品取引所法2-4

          商品取引所法8

          商品取引所法94

【掲載誌】     最高裁判所裁判集民事148号1頁

          判例タイムズ606号46頁

          金融・商事判例747号11頁