DVD商品の頒布につき著作権侵害が認められた事例
東京地方裁判所判決/平成22年(ワ)第44305号
平成24年7月11日
損害賠償等請求事件
【判示事項】 DVD商品の頒布につき著作権侵害が認められた事例
【参照条文】 民法545-1ただし書
著作権法26
著作権法28
著作権法114-2
法の適用に関する通則法7
法の適用に関する通則法17
文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約5(2)
【掲載誌】 判例タイムズ1388号334頁
【解説】
1 事案の概要
本件は,DVD商品(本件商品)の映像(本件映像)の著作権を有すると主張する原告が,被告に対し,著作権法112条1項に基づき,本件商品の販売,頒布の差止めを求めるとともに,民法709条,著作権法114条2項又は3項に基づき,損害617万5000円及び弁護士費用61万7500円の合計679万2500円並びにこれに対する不法行為の後の日である平成23年6月27日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
原告Xは,韓国企業であるが,韓国プロダクションAが制作した,韓流スターが出演する韓国のTV番組(本件プログラム)を利用したDVD商品を製作,販売する契約を締結し,日本企業Bに独占的頒布を許諾し,Bは被告Yに独占的頒布を再許諾した。
原告は本件商品を製作してBに販売し,Bは被告に,被告はその販売先に,それぞれ本件商品を販売したが,Bに債務不履行があったため,原告はXB間の販売契約・頒布許諾契約を解除した(本件解除)。
主な争点は,①原告の著作権の有無,②本件解除の有効性,③原告の頒布権は消尽しているか,④被告は解除前の第3者として保護されるか,⑤被告の故意過失,⑥損害である。
2 裁判所の判断
本判決の判断は,以下のとおりである。
①原告の著作権の有無については,まず,著作権に基づく差止請求の準拠法はベルヌ条約5条(2)により,損害賠償請求の準拠法は法の適用に関する通則法17条により,これらの請求の先決問題としての本件解除の有効性の準拠法については同法7条により,いずれも日本法となるとした上で,本件映像は,Aが制作したTV番組を原著作物とする2次的著作物であり,原著作物と共通する部分については原告の著作権は及ばないが,原告が新たに加えた創作的部分については映画の著作物である本件映像の映画製作者である原告に単独著作権が認められ,本件映像に対するAと原告の寄与割合は50:50であるとした。
②本件解除の有効性については,Bに債務不履行があり,無催告解除も有効であるとした。
③原告の頒布権が,解除前に本件商品をBに譲渡したことにより消尽しているかについては,XB間の販売契約が債務不履行により有効に解除されたことから,適法な第1譲渡があったとはいえず,本件において消尽を論ずる余地はないとした。
④被告が解除前の第3者として保護されるかについては,原告からBに対する頒布許諾と,Bから被告に対する頒布再許諾とは別個の債権的な法律関係であるから,被告が解除された契約の目的物につき新たな権利関係を取得した者ということはできず,また被告の権利は対抗力を備えたものでもないから,いずれにせよ被告が民法545条1項ただし書にいう「第3者」として保護される余地はないとした。
⑤被告の故意過失については,解除前の頒布行為については故意過失は認められないが,被告が解除通知の参照送付を受けた以降の頒布行為については少なくとも過失があるとした。
⑥損害については,被告の過失が認められる時期以降の頒布によって被告が得た利益のうち,本件映像に対する原告の寄与割合50パーセントに相当する22万0495円を著作権法114条2項に基づく損害額として認め,これに弁護士費用相当額を加えた24万2545円につき原告の請求を1部認容し,本件商品の販売・頒布の差止請求も認容した。